早大が早慶戦で2連勝し勝ち点を挙げたため、明大が2季連続42回目の優勝に輝いた。16年以来の春秋連覇を達成した。

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明大ナインは、優勝の瞬間を静かに迎えた。早慶戦の歓声が響いてくる神宮ベンチ裏の通路で喜びをかみしめた。6季ぶりに優勝した今春から連覇。新戦力の台頭があり、村松がケガから復活するなど選手層は厚みを増した。田中武宏監督(61)は「ひと夏の競争の中で(今秋)9勝2敗にできた。戦力は増えました」と手応えを明かした。

今年、4年生を中心に「チームビルディング」を学び始めた。村松や山田陸、蓑尾副主将がオンラインで受講。選手たちが能力を最大限に発揮できるチーム作りに着手した。蓑尾海斗捕手(4年=日南学園)は「捕手は最悪を考えるポジション」と考えていた。それが、チームビルディングを学ぶと「悲観的になるのは前日まで」と知った。データを見て考え悩むが、試合当日は明るく、前向きに。「強気に、いいイメージをしながらプレーすると本当にピンチを抑えられる。自信になりました」。

10月30日の全日程終了後も、神宮大会を見据えて練習を継続。全日本選手権では、準々決勝で敗退した。4番の上田希由翔内野手(3年=愛産大三河)は「神宮大会でチームに貢献できるように頑張る」ときっぱり。“常勝”チームのストーリーは、まだ序章だ。【保坂恭子】

○…中日ドラフト2位の明大・村松主将は「これまで支えてきてもらった方々に御礼を言いたい」と感謝した。春秋連覇は、中日・柳らを擁した16年シーズン以来。ドラフト会議後、柳と連絡を取り「名古屋に来たら、ゆっくり話そう」とメッセージが届いたという。次の目標は日本一。最後の神宮大会へ「隙があったらつけいれられる。日本一になれるように、チームを引き締めていく」と話した。

全員でつかんだ明大の優勝だった。春のチーム打率2割6分8厘を2分1厘引き上げた。代打陣の奮起が光った。21度の起用で19打数7安打、3割6分8厘の高打率を残した。リーグ1の数字だった。

「誰が出ても差がないんです。ミスをすれば、ベンチから外れる。そんな危機感はあります」。蓑尾海斗捕手(4年=日南学園)の弁だ。勝利を挙げて野球部寮に戻っても、誰にいわれるでもなく、各自が自主練習を始めた。

明新大地外野手(4年=明大中野)は早大2回戦で代走から外野に入ると、満塁で走者一掃の三塁打を放った。終盤の慶大戦では先発をつかんだ。守りの人が規定不足ながら、11打数4安打、3割6分4厘の結果を残した。

就任3年目の田中監督は「私が見てきた中で、一番層が厚いチームです」と言い切った。【米谷輝昭】