桐蔭横浜大(神奈川大1位)が創価大(東京新大学2位)に敗れ、10年ぶりの日本一とはならなかった。

ソフトバンクから6位指名された吉田賢吾捕手(4年=横浜商大高)の大学野球が終わった。残したものは後輩に引き継がれる。

最後の一発が大学生活の集大成だった。

2点ビハインドの9回、「打てる気がするから自分に打席を回してくれ」という言葉が自然と出た。宣言通り通算15本目、大学最後の本塁打を左翼席へ放った。しかし、1点差のまま、追いつくことが出来ずチームは敗戦。「勝って終われなかったのはキャプテンとして申し訳ない」と悔しさで涙をにじませた。

最後の打席は4年間の努力が報われた瞬間だった。朝早い時は午前3時に起床し、1年の時から誰よりも早くグラウンドに入った。打てずにやめたいと思ったときもあったが「下級生が自分みたいになりたいと思ってほしい」という気持ちで、がむしゃらに走り続けた。その思いはしっかりと後輩に伝わっている。

3年連続でプロを輩出している桐蔭横浜の次期エース候補・古謝樹投手(3年=湘南学院)は「吉田さんを毎日見てきて、口だけじゃプロにはいけないことを理解している。人間性から目指していきたい」と先輩の背中を追う決意を口にした。

吉田は「大学で学んだことは、小さな日々の積み重ねを継続すること。プロでも焦らず、やっていきたい」と新たな道へ歩み始める。【星夏穂】