勝利の方程式に返り咲く。ソフトバンク甲斐野央投手(25)が9日、宮崎秋季キャンプでシート打撃に初登板した。テスト参加しているコートニー・ホーキンス外野手(28)に対し、8打数無安打で4三振。斉藤和巳投手コーチと取り組む「脱力投法」で、新大砲候補の巨漢スラッガーを完全に封じた。ルーキーだった19年には守護神も務めた4年目右腕が、来季に向けて並々ならぬ覚悟を語った。

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シート打撃に登板した甲斐野は、わずか1球でホーキンスのバットを折った。詰まった打球が二塁方向に弾んでいく。フリー打撃で場外弾を放つなど、規格外のパワーを見せつけてきた巨漢スラッガーをねじ伏せた。しかも本来の姿とは異なる「脱力投法」で、だ。

甲斐野 今は自分をコントロールしている。どうしても僕、力んじゃう癖があるので。どう抑えようかと(斉藤)和巳さんと話していました。

最速160キロを誇るが、理想は「力まずにいい球を投げる。自分のフォームで、ボールに自然にコミットしていく」ことだという。この日の甲斐野は、右腕をしなやかに振っていた。力めば球速は出るが、制球が定まらずに四死球のリスクが出てくる。藤本監督は再三にわたり投手陣の四死球の多さを指摘しており「僕に言っているもんだと思ってます。真剣に取り組んでいこうかと」。

投球スタイルを見つめ直すきっかけは、今季日本一に輝いたオリックスの強固なブルペン陣だった。宇田川、山崎颯、阿部、ワゲスパック…。最速150キロ以上の剛腕たちを目の当たりにし「こういうピッチャーを目指さなければ。逆にこういう球を投げられたのに…という思いがすごくあって」。だが自身は今季、勝ちパターンの一角として投げられず、27試合の登板に終わった。「自分の立ち位置を把握した時、自分の技術力では今のオリックスの中継ぎ陣には勝ててない。じゃあ違う方向にというか、まずは自分を見つめ直そうと思っています」。秋季キャンプだからこそできる「バッターを抑えるための1つの武器」を探し求めている。

ルーキーイヤーの19年には守護神を務めるなど65試合に登板した。藤本監督も「しっかりと来年やってくれることを期待しています」と、勝ちパターン入りの復活を望んだ。18年のドラフト1位右腕。「来年にかける思いは、プロに入って一番強いです」と、並々ならぬ覚悟を示した。【只松憲】

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