仙台大(東北3連盟)は国学院大(東都大学)に2-6で敗れ、2年連続で「神宮初勝利」を逃した。

仙台大の「神宮初勝利」が遠い。最終回。スコアは4点差。「俺に回せ! 回せ!」とベンチが活気づく。誰1人として諦めていない。先頭の3番辻本倫太郎内野手(3年=北海)が中前打で出塁する。反撃ムードを高めたが、後続3人が打ち取られた。初出場した昨年に続く同一カード初戦で力負け。2年越しの雪辱を果たすことはできなかった。森本吉謙監督は、「勝って東北の(野球の)レベルを示したかった」と肩を落とした。

ここぞの踏ん張りどころで制球が乱れた。1-1の同点で迎えた6回1死一、三塁だ。この場面で、最速150キロ右腕、佐藤亜蓮(4年=由利工)がマウンドに上がった。だが押し出し四球を含む2者連続四球で勝ち越しを許し、わずか11球で無念の降板を告げられる。3番手の須崎雄大投手(3年=東海大市原望洋)は、先頭打者を追い込んでから甘く入ったチェンジアップを中前へ運ばれ、この回計3失点。8回にはダメ押し2ランと終盤に突き放され、「全国屈指」と評される国学院大投手陣を前にして、厳しい展開を強いられた。指揮官は「選手たちは、精いっぱいやってくれたと思います」とねぎらった。

キャプテンとして意地の一打だった。今大会で負ければ引退。4年生にとって最後となる晴れ舞台だった。0-1の2回2死二塁。小笠原主将が左打席に立つ。カウント3-1から外角直球を捉え、右中間を破る同点適時三塁打でチームに息を吹き込んだ。森本監督は「4年生としてプレーでチームのあるべき姿を最後まで示してくれた」と目を細めた。

日本一へ、再スタートを切る。大学日本代表選手で6回にソロ本塁打を放った辻本をはじめ、神宮を経験した下級生らが多く残る。

辻本は「日本一を目指している以上は、日本一をつかんで終わりたい」と言葉に力を込めた。神宮の借りは神宮で返す。【佐藤究】