来年の流行語は「アレ」よ-。阪神佐藤輝明内野手(23)が1日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、4300万円増の8500万円でサインした。入団3年目の年俸では藤浪に並び球団史上最高額で、西武源田の8000万円を抜き球界内野手でも歴代最高額だ。来季の目標は30本塁打、100打点。18年ぶりのリーグ制覇を果たし、優勝を意味する「アレ」で流行語大賞を狙うと宣言した。

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紺色スーツにえんじ色のネクタイを締めた佐藤輝が、納得した表情で言った。「評価していただいたので、一発でサインさせてもらいました」。2600万円増の昨年を超える、4300万円の大幅昇給。入団3年目の年俸では藤浪に並ぶ球団史上最高額を勝ち取った。チーム唯一の全143試合出場、同2位の84打点が高く評価された形だ。「何か有意義に使いたいです」とうれしそうに思案した。

終始冷静だった受け答えが、一瞬だけ崩れたシーンがあった。「村神様」が流行語大賞に選ばれたことを受け、来季流行させたいワードを問われると「“アレ”でしょ」。声のトーンを上げ、笑顔で即答した。「優勝したら絶対、流行語になるでしょ。アレを目指して頑張りたいと思います」。岡田監督が就任時から優勝を意味する言葉として発信。阪神選手はもちろん、他球団の選手も使い始めている。18年ぶりのリーグ制覇で、「アレ」を日本中に大流行させるつもりだ。

そのためには、自らの成績アップが欠かせない。今年の20本塁打、84打点は「めちゃくちゃいいかと言われたらそうでもない」と振り返る。「どの成績を見てもまだ物足りない。まずは30本っていうところ。打点も100というのはすごく大きな目標なので、そこに向かって頑張りたい」。主砲が30本塁打&100打点をクリアすれば、おのずと「アレ」にも近づいていく。

岡田監督は来季三塁での固定起用の構想を描く。打順については「監督が決めるもの。僕は置かれたポジションで頑張ろうと思っています」と話す一方、「でも本当に、本当の中心選手になっていきたいなと思います」とうなずく。来年でプロ3年目。レギュラー選手としての自覚が、言葉の端々ににじみ出る。

今オフは選手寮「虎風荘」を退寮する。プロ入り後、料理は1度もしていないという23歳。作りたいものを問われると「なんですかね、ゆでたまご」と苦笑いだ。今後も鳴尾浜を中心とした球団施設でトレーニングを継続予定。「一から体を鍛え直して、シーズン通して安定した成績を残せるようにやっていきたい」。アレに向けた戦いはもう始まっている。【中野椋】

 

◆入団3年目年俸 大リーグ出身のマイケル中村(日本ハム)の1億5600万円が最高で、8000万円以上は佐藤輝、伊藤将で17、18人目。阪神で8000万円以上は15年藤浪8500万円以来。過去16人の守備位置は投手13人、外野手2人、内野手1人。野手の8000万円以上は00年高橋由(巨人)の1億円、12年長野(巨人)の9500万円、19年源田(西武)の8000万円に続き佐藤輝で4人目。内野手で3年目に8500万円は源田を上回った。

 

<流行語大賞にノミネートされた阪神関連の言葉>  

▼85年「トラキチ」(松林豊さん=阪神タイガース私設応援団長)阪神を熱狂的にサポートする応援団のこと。初の日本一で虎フィーバーは全国的に広まった。

▼87年「なんぎやなぁ」(辛坊治郎、森たけし)地元大阪のテレビキャスターの彼らが、開幕から負け続ける阪神を見て出た言葉。悔しさを愛情込めて表現。

▼03年「勝ちたいんや!」(星野仙一)。キャンプイン前日の全員ミーティングでナインに向かって「勝ちたいんや。勝ちたいねん。ファンを喜ばせたいねん」と熱弁し、18年ぶりのリーグ優勝に導いた。

 

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