15年ぶりに虎の指揮を執る阪神岡田彰布監督(65)を、日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が直撃した。早大の後輩でもある教え子との本音だらけの“ぶっちゃけ対談”。第3回は投手編上だ。指揮官は投手陣に話題が移ると、真っ先にブルペン陣の昨季借金10の改善を力説。守護神は湯浅、岩崎はセットアッパーと役割を明確にイメージしながら策を練る。【取材・構成=佐井陽介、石橋隆雄】

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鳥谷氏 次は投手の話を。去年の阪神はチーム防御率がリーグ1位の2.67でした。ただ、意外と貯金を作れている投手が…。

岡田監督 いやいや、ブルペンで借金10個なんよな(※1)。もうビックリした。岩崎にしても1勝6敗で防御率が1点台とかな。大事なところでのエラーなんかな。だから(失点しても)自責点はつかないというかな。うーん、やっぱりヤクルトは10個以上貯金があるんよな。後ろ(救援陣)で(※2)。

鳥谷氏 (中継ぎの)木沢投手は9勝しています。

岡田監督 それで防御率3点台なんかな、ヤクルトは(昨季チーム防御率3.52)。やっぱり、そこやろなあ。借金10個と貯金10個じゃあ、もう全然違う。

鳥谷氏 それだけで10ゲーム違いますからね。

岡田監督 結構、見ている人なんか(のイメージ)は(リードして)7回までいったら勝てるような、なあ。浜地も湯浅も良くなったから、もうこれで勝ちやと思うけど、なんであんなに負けてるんやろうなあ。

鳥谷氏 抑えはどうですか? 湯浅投手もいれば(カイル・)ケラー投手も昨季後半は活躍しています。岩崎投手もいます。

岡田監督 岩崎はセットアッパーやで。だから、もう湯浅って言いたいけどなあ。湯浅でいこうとは思ってる。でも、今年は(3月に)WBCがあるやんか。そこで(選出されれば)最初はちょっと流動的になるかも分からんなあ。

鳥谷氏 最終的には湯浅投手で考えている、と。

岡田監督 うん。最終的には湯浅でいこうと思ってる。まあ、1カ月違うボール投げてたら、おかしなるで。まあ、でも(カイル・)ケラーも(昨季)後半良くなったしな。もう1人、新外国人(ジェレミー・ビーズリー)も取ってるからな。結構一番(欲しいと)思ってた選手が取れたからな。おーん。久保田が1軍(投手コーチ)に上がってブルペン担当をさせるけど、その3人で連投、連投で勝ちを拾っていくシステムじゃないもんな、今は。

鳥谷氏 今は2日投げたら(翌日は)絶対に休むという感じもありますね。

岡田監督 そうやなあ。まあ、しかし、オマエ、3連投くらいせなあかんやろ。いくらなんでも。「3連投させない」はないと思うけど。キャンプから投げ込みをしてないとかな。そういうのがあると思うよ。はっきり言って。

鳥谷氏 確かに投げ込む量は昔と比べて確実に減っていますよね。

岡田監督 全然少ないよなあ。久保田なんか3000球投げとったよ。井川も。20日間ちょいで3000くらい投げとったもん。それもブルペンだけやからね。その後、終わったらネットピッチしとるもんな。

鳥谷氏 久保田さんはずっと投げていたイメージ。

岡田監督 オレ思うけど、いいフォームで投げてたら(球数を)投げれるんよ。やっぱりどこかに何か力が入ると疲れて投げられへんっていうかな。2、3球真っすぐ投げたらすぐカーブとかスライダーとか変化球を投げにいくとかな。だから、もう若いのは真っすぐばっかり投げさせたよ。(秋季キャンプ)第2クールまでな。やっぱり理にかなった投げ方いうとおかしいけど、そんな力いっぱいバンバン投げるんとちゃうからなあ。おーん。その辺をちょっと若いピッチャーにも分からさなあかんわな。(投手編下に続く)

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※1…阪神の昨季先発ではない投手陣の勝敗は14勝24敗。救援陣防御率は2.39だが、借金10を抱えた。

※2…昨季セ王者のヤクルトは先発ではない投手で31勝17敗と貯金14を稼いだ。木沢はすべてリリーフでチーム最多タイの9勝。救援防御率は阪神よりも悪い3.08だった。