阪神岩田将貴投手(24)が19日、3年目で初のキャンプ1軍発進を決めた。目指す左キラー襲名へ、猛アピールする意気込みだ。

体を大きく一塁側に傾け、角度をつけて投球する変則左腕。20年育成ドラフト1位で九産大から入団し、昨年7月に支配下登録を勝ち取った。1軍デビューはお預けになったが、ウエスタン・リーグでは中継ぎで41試合に登板し、防御率1・97の好成績。昨年11月の高知・安芸キャンプにも参加し、投げっぷりの良さが岡田監督の目に留まった。「まずは左は確実に抑えるところをアピールして、右もいけるぞというのをキャンプでアピールできたら」と気合を入れた。

絶好の獲物としてターゲットを定めるのが、ドラフト同期で同学年の佐藤輝だ。「セ・リーグの中でもすごく実力あるバッター。(内角を)エグりたい」。2月11、12日には、岡田阪神の23年初実戦となる紅白戦が組まれている。強気の攻めで佐藤輝ら左打者をキリキリ舞いさせ、存在感を示す。

昨季、主に左のワンポイントで32試合に登板した変則左腕、渡辺雄はキャンプ2軍スタートが決定。「なべさん(渡辺雄)はアウトコースのスライダーで勝負する方ですけど、僕は強気にインコースを攻められる。ここが違うというところを見せていけたら」と、持ち味を存分に示す。岩貞の先発転向で、左の救援陣はセットアッパー確定の岩崎のほか、渡辺雄、島本らで争う構図。“オレが岩田将貴”を前面に押し出し、サバイバルを勝ち抜く。【波部俊之介】

◆岩田将貴(いわた・まさき)1998年(平10)6月16日生まれ、福岡県出身。九産大九州ではエースとして2年春に甲子園出場。九産大在学中の19年夏にトミー・ジョン手術を経験。20年育成ドラフト1位で阪神入団し、昨年7月に支配下昇格を果たした。1軍戦での登板はなし。昨季ウエスタン・リーグでは登板41試合で、4勝1敗、防御率1・97。178センチ、75キロ。左投げ左打ち。

○…板山が5種類のグラブを持って4年ぶりの1軍キャンプに臨む。鳴尾浜での自主トレで三塁ノックを受け、「試合に出るためならどこでもやる」と、内野、外野各2種類、一塁ミットを準備していることを明かした。昨秋キャンプで岡田監督から打力を絶賛された28歳は「去年クビになっていてもおかしくない。そういう意味では、自分の野球人生を左右する1年になる」と決意を語った。

○…島本が4年ぶりの1軍キャンプ発進に燃えた。鳴尾浜で自主トレを行っい「ずっとけがでキャンプはまともにできていなかったんで、しっかり初日からアピールしたい」と気合十分だ。20年に左肘のトミー・ジョン手術を受け、昨年6月に育成から支配下登録に復帰。貴重な中継ぎ左腕として期待は大きい。藤川球団本部付SAから「借りている」という大事な治療器を持ち込み、勝負の沖縄に向かう。

○…ドラフト6位の富田蓮投手(21=三菱自動車岡崎)は2軍キャンプスタートとなった。「1軍に行きたかった気持ちはありますけど、1軍も2軍も沖縄。いつでも入れ替えがあるので、いつ呼ばれても問題ない状態でやっていきたい」と力を蓄える。この日は鳴尾浜で2度目のブルペンに入り、立ち投げで約30球。1、2軍合同の2月11、12日の紅白戦に向け「1軍相手でも2軍相手でも自分のピッチングをできれば」と、アピールを誓った。

○…馬場内野守備走塁コーチが、5年連続リーグ最多失策返上に気合を入れた。「春も基本の練習はしますよ。やっていかないといけない。それで実戦の中でどういうふうに守るかということでまた、課題が出れば反省する。それしかない。(早出特守も)当然、やりますよ。当然ですね」。ゴールデングラブ賞2回の名手が、沖縄でのキャンプでは、朝早くからノックの雨を降らせる。

○…水口打撃コーチは昨秋の高知・安芸キャンプで導入した「スピンスティック」を沖縄にも持ち込む。高知・安芸キャンプでは写真撮影で使う一脚のような棒の先端に選手たちはおしりを乗せ、両足で踏ん張りしゃがんだ状態でティー打撃を行った。棒状の秘密兵器について「あの股関節のやつはやりたい。下半身使うからね。やった後にバッティングをやってもらいたい」と不敵に笑った。

◆平田ヘッドコーチ(2軍スタート選手の奮起を期待)「秋山とか及川、中堅どころでは、北條や山本なんてのは、ある程度1軍で成績を残している選手も含めて(競争)ですよ。最初に振り分けをされたけど、競争という意味では非常に厳しい部分が出てくる」

◆安藤投手コーチ(毎日ブルペンの方針を明かす)「球数は少なくてもいいから、なるべく元気な投手は、毎日ブルペンに入る。(紅白戦は青柳ら)そのへんのクラスは今のところ考えてない。若い、アピールする立場の選手。あとはファームで状態のいい選手とかを呼んで」