ロッテ中森俊介投手(20)が思いきりよく腕を振るたびに、受けるミットの“爆発音”が「パンッ」と響き渡った。

ストレートを中心に、カーブ、スライダー、チェンジアップなど全43球。1日の34球に続く力投に「今はコントロールよりも力強い球を投げることを意識してやっています」。わずか9球の変化球は「そんなに球数を投げていないので、感覚を大切にしながら」と少しずつ微調整。今後は打者を相手に修正点も模索していく。

今年の正月、中森にも“御利益”がありそうな吉報が届いた。風物詩の兵庫・西宮神社の「福男」を襲名した植本亮太さん。18年夏の甲子園初戦の八戸学院光星戦で8回途中から3番手登板した中森の後ろを守っていたのが、「6番二塁」の植本さんだった。「ビックリでしたし、福男はけっこう忙しくなりそうですよね」。今でも応援の連絡をくれる仲間の「福」もパワーにつながりそうだ。

20年ドラフト2位で入団し、1年目は体づくりに専念した。昨季は2軍で6試合(先発3)に登板したが、4月中旬以降は右肩痛で出場はなし。ケガの防止と質の高い直球への助言は「完全男」から受けている。「朗希さんからは『とにかくストレッチをもっとやれ』と言われています。聞いて、見て学んでいます」。同じ育成計画による成功者の指導に「良いコンディションで、良い肩の位置に持っていければ、良い投球も出来る」と確信している。

吉井監督には昨秋のフェニックス・リーグで150キロの直球を披露し「若手のホープ」に指名された。指揮官は「2軍の試合のデータで、前に飛んだ割合の70%がゴロ。特殊な投手。非常識なストレートを投げている」と表現した。中森は「まっスラしているので好きではない」としたが「最近はまわりに『この球いいよ』と言ってもらえるので、武器かなと思い始めています」と笑った。佐々木朗の背中を追う大ブレークで、「パ・リーグ一番福」の優勝も奪取する。【鎌田直秀】

◆福男 商売繁盛の神様「えべっさん」総本社の西宮神社(兵庫県西宮市)で本殿参拝の一番乗りを競う恒例の「開門神事福男選び」で境内を先頭で駆け抜け、神から多くの福を授かった人に与えられる称号。「一番福」とも呼ばれる。今年は3年ぶりに開催された。午前6時の太鼓の音を合図に「表大門」から「本殿」までの約230メートルを全速力で走る。商売繁盛を祈願する「十日えびす(1月10日)」に行う伝統的神事。

◆中森俊介(なかもり・しゅんすけ)2002年(平14)5月29日、兵庫県丹波篠山市生まれ。小2から野球を始め、篠山東中で軟式野球部、中3夏から三田ボーイズ。明石商では1年夏から甲子園に出場し、2年春夏に連続で4強進出。20年ドラフト2位でロッテ入団。昨季は2軍で6試合、1勝0敗、防御率0・90。今季推定年俸720万円。182センチ、90キロ。右投げ左打ち。

○…昨季チーム最多16本塁打の山口が“鬼尻”で「30本達成します」と誓った。フリー打撃ではバックスクリーン弾を連発。自主トレではホームランの“鬼”西武・山川に弟子入りし「しっかりお尻に力が入れば遠くに飛ばせることが分かった。自然に打球も上がる」と手応え。ゴムチューブトレで鍛えてきた尻は「ジーパンがケツから破れたんです」と苦笑いするほどだ。安田と豆まきも行い、“服”を大切にすることも誓った?

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