リリーバーとして圧倒的な力量を示してきた西武平良海馬投手(23)が、今季から先発に転向する。

7日、南郷キャンプ初のブルペン投球を終え、松井稼頭央監督(47)と2人の時間があった。掛けられたのは「先発としてチャンスをつかんだから、そこで失敗したらとかは考えずに存分にやってくれ」といった言葉。それを受けた平良は「もともとそういう気でもいたので、存分にやってやろうかなと。そんな感じです」と不敵に笑った。

持ち込んだラプソードで1球ごとに念入りに、10秒前後は球の数値を確かめてから、次の球を投げた。ただ、動作に入れば早い。代名詞のクイックは、先発マウンドでも継続する。

「シンプルに投げやすいことと、足を上げても、下げた時にクイックのポジションと一緒のポジションになっちゃうので。別に足上げなくてもいいよねっていうところで」

ステップ幅やプレート位置にも修正は入れず、球数調整だけを気に掛けながらブルペン投球を続ける。自主トレ先の沖縄・宮古島でも最大で100球前後はブルペンで投げている。

最速152キロをマークした直球をはじめ、藤沢ブルペン捕手を相手にあらゆる球種を投げていく平良のもとを、山川穂高内野手(31)が訪れた。WBC合宿招集も近い。主砲には生きた球を見る必要があった。

一方、平良にも試したいものがある。ゴロを打たせ、球数を減らすのに有効な新球ツーシームだ。右打者の懐に食い込む球。日本代表の日程が迫り、コンディション維持も重要な山川を相手に、さてどうするか。平良は「最初はちょっと、当てたらどうしようと思って外側に行く球が多かったんですけど」と思いつつ、しっかり攻め込んだ。

「内側に投げられた時は山川さんも『いいボールだ』と言ってくれたのでそれは自信になりました。手元の(ラプソードの)データ的にはいい球でも、山川さんの感覚的には『打てそう』って言ったりとかして、一流の打者の感覚もあったりしたので面白い投球だったなと思いました」

懐をめぐっての、一流対一流のせめぎ合い。山川はそのツーシームに何を思ったか。球筋以上に、後輩平良の能動さを褒めた。

「平良が考えて、自分の主観、自分の感覚とか感触、感性もろもろ感じる部分でそれにトライしてるなら、最高だと思います。何してもいい。左で投げたっていいと思いますね。それぐらいいい」

もう1つ、添えた。

「周りを気にすることはなく、自分の感性というか、自分の感覚を信じてやりさえすればそれでいい」

雨ゆえの室内練習場ブルペンでの18・44メートルは、若い西武を高める貴重な時間だった。【金子真仁】

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