逆算調整に狂いなし! WBC日本代表のオリックス山本由伸投手(24)が8日、宮崎キャンプで初の打撃投手に臨んだ。実戦に近い対戦形式で5球×6打者と勝負。156キロを4度計測し、変化球も自在に操った。左足を上げない新投法で初めて打者と相対したが難点はなかった。本番まであと28日。「落ち着いてやっていけたら」というNPB最強右腕の仕上がりぶりが頼もしい。

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地を這(は)うような速球が森のミットをたたいた。マウンドの山本は左足を上げない新投法を自分のものにしていた。ブルペンと違って確認動作は入れず、本番と同じようにリズミカルに投げ込んだ。「ブルペンは得意な方じゃない。打者に投げられて、またちょっと感覚が良くなりました」と充実感を漂わせた。

圧巻は3人目の打者、太田への投球。3球目から3連続で「156」の表示をともした。2キロほど速いとされるSOKKENスタジアムの球場表示だが、ブルペンでも常時150キロを超えており、寸分の狂いもなく段階を上げている。

30球すべて球種を予告してから投げた。156キロ3連発の2球目は右中間席に運ばれたが「(太田)椋だから納得しています」と平然。太田の1発を含め、許した安打性の打球はわずかに2本。カットボール3球、フォーク4球、カーブ4球と基本的な持ち球もすべて投げ、正確に制球。WBC公式球を苦にしていないことを証明した。

何より、話題の新フォームだ。太田が言う。「タイミングがめちゃくちゃ取りにくい。どこで始動すればいいのか」。体重移動を重視するための変更で、打者を惑わす意図はない。それでも打者との初対戦で“副産物”を確認できた。

「強い球を投げられたし、とにかく伸びが感じられたので。球速も思ったより出たし、良かったです」。2年連続4冠&沢村賞の昨年までと同様、むしろそれ以上の進化を実感しているような口ぶり。オフから速球の伸びを追求してきた。球の質はすでに完成に近い。3月9日のWBC開幕まで28日。「あと3週間ぐらいあるので、しっかり落ち着いてやっていけたら十分かな」。エース格に期待されるスーパー右腕は、本番への道筋をしっかりとらえている。【柏原誠】

○…宇田川に「腹八分目」作戦の効果? 打撃投手を務め、2本塁打されたが最速154キロと直球に強さが戻ってきた。WBCへの対応に加え、減量指令にも苦しんできたが着々と減量。「前までは体重計が怖かったが、今は結構楽しみ。今日の直球は最近では一番よかった」。調整不足を心配していた中嶋監督は「腹八分目で落ちるならやっとけって話ですよ」と苦笑いだった。

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