大飛球へと背走していた西武西川愛也外野手(23)は、最後に「無理!!」とあきらめた。フリー打撃をしていた山川穂高内野手(31)の打球はインパクトから5秒少々で、バックスクリーンに直撃した。

8日の宮崎・南郷キャンプ。山川はこの日、207スイングでサク越えは7本だった。日向灘からの海風はライト方向へ吹き、加えて南郷スタジアムは広い。右打者には本塁打の出にくい球場。それでも「悔しいですね~。いっぱい練習しても自然には勝てないんだなとあらためて感じました」と豪快に苦笑いした。

ただ、3月には日の丸を背負う長距離砲として、すごみは示した。居残り特打を含めての207スイング中、中堅手が絡む飛球やライナーが111球あった。滞空時間が6秒を超えるような、120メートル級の飛球も20球近くあった。ゴロ凡打はわずか6球のみ。

「センターに飛んでて高いフライが打ててるのは、個人的にはいいなと思います。バットの軌道も間違ってないと思いますし」

センターへの打球が増える-。1月中に自身が予言していた通りになっている。練習中に風船を膨らませるシーンが目立つ。

「息を吐くと同時に腹圧を高めて、腹筋に力が入る状態にして、そこからバットを構えると、構えた時の手の位置が安定するので」

打席での違和感をなくし、理想とするスイングを再現できる確率を高める。風船との付き合いはキャンプ後も続ける。「年間通して、ティー打撃まで毎日続けていくつもりです。試合でも打席の中であれをイメージする時間はあるので、ルーティンの1つとしてしっかり毎打席、毎球やっていきたいなと思います」と徹底する構えだ。

徹底すれば成果が出ることは、この日の“センター集中打”でも明らかだ。1月には「試合前の全ての準備、コンディション、体が痛くない限りはもろもろ整っているので、高い成績が出る確率のほうが高くなる…でしょう」とも言葉を選びながら口にしている。この日の打球方向の安定で「強く振れているのは間違いない」と自信も深めた。

207スイングもすれば、型は微妙に崩れていく。「汚く打つのも型、だと思うので」と意に介さない。午後4時20分、この日を締める最後のひと振り。バックスクルーン左の芝生席に突き刺した。

「高山コーチ!今の打球、もう打てないです!」

ひと晩ゆっくり休んで、また打つ。【金子真仁】

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