朗希史上最速のシーズン160キロ到達だ! WBC日本代表のロッテ佐々木朗希投手(21)が9日、沖縄・石垣島での春季キャンプで行われたシート打撃に初登板。WBC使用球では実戦初の160キロを2度マークした。昨年は2月19日の練習試合日本ハム戦の初球に161キロを記録したのが最初。WBC仕様の早期調整で積み上げてきたボールへの対応に手応えを得た計30球だった。次回登板は15日のヤクルトとの練習試合(糸満)の予定だ。

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佐々木朗がマウンドに立つと、石垣島の空気が一変した。球場内の音楽は消され、約1000人の観衆も静寂に包まれた。誰もが身動き1つせずに凝視する。最初の打者は藤原。WBC使用球で初の160キロは、4球目だった。受けた松川に伝えたテーマは「左打者への直球と右打者へのスライダーを試したい」。言葉通りの、キレ味鋭い左への内角高めの直球だった。

昨年11月の強化試合で4回を投げたが、抜け球も多く、球速も159キロ止まり。正月返上で“ボールはともだち”とばかりに常に一緒に寄り添ってきたWBC球との深まりを証明した。

気温23度の石垣島で初の160キロ披露でもあった。「実戦形式は(今季)初めてだったので、バッター相手に投げられたこと、球場の雰囲気だったり景色の中で投げられたことが収穫だった。いろいろな要素を踏まえたら、元気に投げられましたし、そこそこ良かったと思います」。納得の表情からあふれた汗を、空と同じ青いタオルで拭った。

打者6人に計30球を投げ、安打性の当たりは2本。安田からフォークで膝をつくほど体勢を崩させて空振りを奪い、160キロの内角直球で二ゴロに封じた。最後も藤原の内角低めにズバッと決めて見逃しで締めるなど、打者が手が出ないほどの球が数多くあった。

「去年の強化試合の時よりも、フォークがちょっと良くなっている。最後のほうですけれど、コントロールも良かったのかな」。課題はスライダー。「良いボールは良かったですけど、ダメなボールが右バッターに危ないなと思ったので、もう少し安定して曲がってくれれば」と明確にした。

次は中5日でヤクルト戦。「朗希VS村神様」のWBC主力対決は佐々木朗にとっても腕試しとなる。「時間はないけれど、ストレートの精度だったり、全体的にまとまりを出せるようにしたい」。日の丸を背負う侍とWBC球との関係は、もうじき“相棒”となる。【鎌田直秀】

佐々木朗希のシーズン初160キロ計測

◆19年 4月6日、奈良県内でのU18(18歳以下)W杯に向けた高校日本代表1次候補合宿の紅白戦で自己最速を6キロも更新する163キロ。

◆20年 コロナ禍で開幕が遅れる中で5月26日、ZOZOマリンでの高卒1年目のシート打撃初登板で藤岡相手に160キロを2度。

◆21年 160キロの計測なし。

◆22年 2月19日、沖縄・名護での日本ハムとの練習試合で先発し、清水相手の初球に161キロ。全26球を投げ、直球22球中160キロ超えは16球。

▽侍ジャパン投手コーチを兼務するロッテ吉井監督(佐々木朗の投球内容に)「スムーズに投げられている。歌を歌っている人が気分よく歌っているのが分かるのと同じような感じ。(次の登板は)複数イニング投げてもらいたいけれど、彼の機嫌次第。30から45球くらいですかね」

▽ロッテ松川(捕手を務め)「フォークもストレートもWBC球でも差がない。直球は最初はシュート気味だったのですけれど、途中から(修正して)体の使い方がはまった感じで良かった。球種選択は朗希さんです」

▽ロッテ安田(160キロ直球とフォークに屈したが右前打で意地も)「対戦は21年の秋のキャンプ以来。160キロの直球からあのスピードできれいに落とされたら打てません。空振りの映像、使ってください(笑い)。ヒットは抜けたフォークだったので…。この時期に160キロを見られたのは良かったです」

▽ロッテ藤原(全10球対戦し中前打あり、160キロあり、最後は見逃しあり)「朗希にインコースに決められたら打てない。お手上げです」

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