和製オーダーもおもろい! 高卒4年目の阪神井上広大外野手(21)が19日、韓国サムスンとの練習試合(宜野座)に「7番左翼」で先発し、満塁本塁打を放った。対外試合3戦2発で、長打力を猛アピール。この日はノイジー、ミエセスが別メニュー調整。井上が台頭すれば、助っ人不在でも魅力ある打線を組める。

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若き大砲の覚醒か。井上はビッグチャンスを見逃さなかった。7回1死満塁、カウント1-2。頭がブレないように左足を上げすぎず、すり足気味でタイミングをとった。相手右腕の内角に甘く入った5球目を左中間方向へ飛ばした。「最後の打席に追い込まれてましたけど、いい形で結果につながった」。1軍の対外試合3戦で2発目となるグランドスラム。第2打席も右犠飛で得点を稼ぐなど、1人で5打点を挙げた。

一振りで「1軍残留」を勝ち取った。20日に中日2軍との練習試合(読谷)に出場する予定だったが、岡田彰布監督(65)は「井上も2軍の試合に行かそうと思ったけど、あんな打ったら行かされへん」と苦笑する。急きょ派遣を取りやめ。指揮官は評価しつつ、さらに上のレベルを要求をした。「今日も変化球やろ? 直球を仕留めてほしいよな。注文付けるとしたら、そこやな。速い直球を一発で仕留めてくれたら言うこと無いけどな」。期待する背番号32へ、課題を与えた。

井上もその言葉をしっかりと受け止めている。「(1軍は)150キロが当たり前なので、はじき返せないと変化球も拾えない。まっすぐに対していい間、タイミングで入って準備を大事にしていきたい」。満弾を放っても、直球打ちを念頭に置いた。

井上の立ち位置を考えると、外野の開幕スタメンは厳しい状況だ。中堅は近本が決定。右翼はドラフト1位森下が本命だ。左翼には新外国人ノイジーがいる。ノイジーとミエセスはともに別メニュー調整。岡田監督は「外国人2人はな、ちょっとケガでな、別に気にしてないけどな」と気にしない。大山、佐藤輝に森下。そして井上が台頭すれば、助っ人不在の和製オーダーでも十分に戦える。

プロ初の開幕へ。井上は力強く言った。「開幕スタメンで出るのが目標。2月はあと何試合かだけだと思うので、そこでもっとアピールできるようにやっていけたらと思っている。3月につなげていければ」。外野のレギュラー奪取へ、決意をにじませた。【三宅ひとみ】

○…木浪が「打ち出の小づち」と化した。9番遊撃でフル出場。右中間三塁打を口火に左前打、右二塁打、左二塁打と広角に打ち分け、4打数4安打を決めた。初対戦のサムスン投手陣を攻略し「タイミングだけを意識しました」とにっこり。小幡との遊撃争いについては「守備を第一に考えています」と軽快にさばき続ける守備の充実に手応えを明かした。岡田監督も「守備もよくなって、バットの方も力がついてきた」と笑顔。「最終的に開幕スタメンがどっちになるか分からんけどレベルの高い争いをな」とうなずいていた。

○…現役ドラフトで加入した大竹がまた快投した。2番手で登板し、3回を1安打0封。紅白戦を含めた実戦2試合は、6回1安打無失点と結果を出している。9人中8人が左打者だったサムスン打線について「右にも投げたかった」と苦笑い。「左のインコースにいけるのは自信になった。でも対角の精度と強さは満足いってない」と貪欲だ。先発候補と期待する岡田監督は「大竹がエエからな、本当に」とご満悦だった。

○…18日に1軍昇格した最速147キロのドラフト6位左腕、富田蓮投手(21=三菱自動車岡崎)が1回0封で期待に応えた。9回に登板してヒット1本は許したが、落ち着いて後続を断った。「緊張もありましたが、任された回数を投げ切ることに重点を置きました」とほっとした表情。岡田監督も快投にうなずき、「1軍でどのぐらい(やれるか)」と、引き続きチャンスを与えていく方針だ。