開幕3番に前進! 絶好調の阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、東海大相模(神奈川)の3学年先輩で昨季の10勝左腕、中日小笠原慎之介投手(25)撃ちを決めた。

6番右翼で出場した北谷での練習試合で、左翼線にプロ初長打となる適時二塁打。右翼守備も軽快で、岡田彰布監督(65)の評価は上がる一方だ。チームは昨季、相手左腕の先発試合は借金10だったが森下の加入で鬼に金棒か。抱く開幕3番構想が現実になる勢いだ。

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森下は憧れの対戦相手でも冷静に、堂々と立ち振る舞った。「チェンジアップが頭に入っていたので、内角の真っすぐを張りながら、変化球に対応していこうという形でした」。マウンドには、昨年12月の入団会見で対戦したい投手に挙げた母校東海大相模の3学年先輩、小笠原がいた。

1点を追う2回無死一塁。カウント1-2と追い込まれたが慌てない。4球目の決めにきた外角低めチェンジアップをバットで払うように捉えた。技ありで左翼線へ運び、プロ初長打となる適時二塁打で一時同点。「戦えて光栄に思います。追い込まれた後に対応できたのはすごくよかった」。昨季10勝と実績十分の先輩撃ちで決めた2試合連続タイムリーに笑顔がはじけた。

小笠原は脱帽だった。「すごく振るのでイヤな印象があります。ちょっとボール球のチェンジアップにも手が伸びて左翼線に打たれたので、本当にいい打者だなと」。あこがれの先輩に「イヤな印象」と言わしめれば最強だ。面識はなく、この日の試合前が初対面。あいさつがわりの二塁打が強烈な印象を植え付けた。

阪神は昨季、相手の左腕先発試合で借金10。スタメンに左打者が多かったことも要因のひとつだろうが、左も打てる右の森下加入は大きな戦力補強だ。それでも背番号1は表情を引き締めた。「今後、対戦する時はギアを上げてくると思う。そこで対戦した時にもしっかり打ち返せるように頑張りたい」。

守備でも魅せた。右翼に長打が飛んでも、中継プレーのカットマンに素早く正確に送球。余分な進塁を許さない。飛球処理も無難で、スキなく堅実な守備で投手陣をもり立てている。「後方のフライ、カットマンへの送球は多少できたと思う。もっと投手を助けられる守備をこれからしていきたい」と貪欲だ。

岡田監督もにんまりだ。「対応してんちゃう? (シーズンで)対戦するわけやからな、絶対にな。(守備は)外野の連係とかな、中継とかはちゃんとできてるし。それはよかったよな」。攻守で想像以上のポテンシャルを見せ続ける森下に、開幕3番構想もますます膨らむ。キャンプ終盤もアピールの手を緩めず、3番森下、4番大山、5番佐藤輝のドラフト1位クリーンアップに突き進む。【三宅ひとみ】

◆東海大相模での小笠原と森下 小笠原は13~15年度に、森下は16~18年度に在学したため、チームメートとなった時期はない。小笠原は甲子園に2年夏と3年夏に出場し、3年夏は優勝投手に。森下は3年のセンバツに出場し、4強へ進出。全4試合に3番・中堅で出場して15打数4安打、打率2割6分7厘。本塁打はなかった。

▼阪神は昨季、相手の先発投手が左腕だった54試合で22勝32敗と、借金を10もつくった。最も多く対戦したのが大野雄(中日)の7試合で、阪神は勝敗は2勝5敗。5月6日の対戦では延長10回2死まで1人の走者も出せず無安打無得点の屈辱を味わった。石田(DeNA)には4戦全敗するなど大苦戦。大ベテランの石川(ヤクルト)との対戦3試合ではチームは全敗、防御率1・08と手玉に取られた。小笠原(中日)には2試合で1勝1敗ながら、防御率1・93と封じ込まれている。なお、対右腕の先発試合は46勝39敗4分けで貯金7だった。

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