いつか負けじと世界に-。日本ハムのドラフト1位、矢沢宏太投手(22)が15日、東京・世田谷区内の日体大キャンパスで卒業式に出席した。式には東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリストの入江聖奈(22)や、男子ゴルフ元世界アマランク1位の中島啓太(22)ら世界で活躍するメンバーも同席。投打二刀流ルーキーは同期たちの存在を刺激に、近い将来の侍ジャパン入りを思い描いた。

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矢沢が晴れの日を迎えた。4年前、藤嶺藤沢(神奈川)でプロ志望届を出したが指名されず、飛躍を求めて門をたたいたのが日体大だった。「ドラフト1位でプロに行くために日本体育大学を選んだ。それが実現できて良かったと思います」。すがすがしい表情で卒業式を終えた。

学業と競技成績が優秀な者に贈られる理事長賞を授与され、登壇した。そろって同賞を授かったのは、ボクシング女子五輪金メダルの入江や昨年マスターズに出場した男子ゴルフの中島ら、日本スポーツ界を代表する顔触れ。「負けないようにと4年間過ごせた」ことが自身を成長させた。

なかでも中島の、謙虚で努力家な姿は刺激だった。野球場とゴルフ場が隣接していたことから親しくなった。中島が21年11月のアジア太平洋アマチュア選手権(UAE)を制して帰国した後、2人は野球とゴルフボールにそれぞれサインを書き合って交換。「中島くんが頑張ってたら、僕ももっとやんなきゃいけないなと思う。そういう切磋琢磨(せっさたくま)し合える友達でありたい」。ともにプロ1年目。将来、対談ができるような存在になろうと約束した。

第1歩は踏み出した。14日にエスコンフィールドのこけら落としとなる西武戦で、投打同時出場のオープン戦“二刀流”デビュー。試合後に帰京して、翌朝の卒業式に備えた。せわしない1日にも「特に疲れもない。すごく充実した毎日を送れてます」と笑顔を向ける。

野球界ではまさにWBCが開催中で、日の丸を背負う侍たちは16日にイタリアとの準々決勝を迎える。「日本のトップの方たちが集まっているので、すごく見ていておもしろいですし、勉強になる。いつか自分もその舞台に立てるように頑張りたいなと思います」。まずは新人王。そう遠くない日には日本代表に。新社会人の夢はふくらんだ。【鎌田良美】