さあ、船出だ。岡田彰布監督(65)が15年ぶりに指揮を執る阪神の23年シーズンが31日に開幕する。

DeNAとの開幕戦(京セラドーム大阪)を「楽しみやな」と、自信を持って挑む。18年ぶり悲願の「アレ(=優勝)」のためにも、開幕直後にバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発のようなチームを勢いづけるミラクルプレーが飛び出すことを期待した。

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アレを呼び込むにはアレが必要だ。開幕前日の京セラドーム大阪。岡田監督は「どんなシーズンて、終わった時にアレになってるようにするだけ」と、シンプルに力強く誓った。若いチームが活気づくためにもスタートダッシュは欠かせない。そのために必要な要素とは…。指揮官は驚くようなミラクルプレーが爆発的な推進力につながると説明した。

「08年も最初ブワーッっといったやんか。なんで? 赤星、平野のダブルスチールやろ」。08年の開幕3戦目横浜(現DeNA)戦の4回に、ノーサインで2人が重盗を成功させた。チームはその後勢いに乗り開幕5連勝、3、4月19勝7敗1分けと貯金12をつくった。

岡田監督が5番打者として日本一に輝いた85年も開幕4戦目の甲子園での巨人戦で、バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発が飛び出している。「後から考えたら、そういうなんかチームに勢いがつくプレーによってね、ほかの若い選手も引っ張られて、力をつけて、自信をつける」と、その意味を力説した。

補強ポイントだった右打者として3番ノイジー、6番森下が新たに加わった。「このへんが機能してくれれば」と、DeNAの開幕左腕石田に対しても左腕アレルギーは昨年までの話と、攻略に自信を持つ。チケットは完売。満員のスタンドから解禁となった声での声援で後押しを受ける。「本当に声援を力に変えてグラウンドで躍動してもらいたい。ファンが大きな声を出せるようなゲームにしたい」と、ファンと一緒に熱く戦う。

「4月より5月、6月と試合を追うごとに力をつけてきて、8、9月には今よりももっと素晴らしいチームになっていると思う。若いんでとにかく挑戦するつもりで、どんどん思い切ったプレーをやってもらったらいい」。ミラクルプレーからアレに突っ走ることはできるか。12球団最年長65歳の指揮官は、若虎を勢いに乗せて頂点を目指す。【石橋隆雄】

○…31日DeNA戦は、球団OBのランディ・バース氏(69)の1球から始まる。85年は岡田監督とクリーンアップを組み、初の日本一に導いた史上最強助っ人が始球式に登場する。以前には「私のチームメートで、よい友人である岡田さんが新監督であるのは喜ばしいこと。今シーズンの猛突撃をぜひ期待しています」とエールを送っていた。レジェンドが決戦の地で勇姿をみせ、初陣に臨む岡田阪神を活気づける。

◆完売 阪神は31日のDeNA1回戦(甲子園)の入場券が完売したと発表。当日券は販売しない。

<阪神 過去のミラクル>

◆バックスクリーン3連発 開幕4戦目の85年4月17日、甲子園での阪神-巨人2回戦。1-3と2点を追う阪神は7回裏、巨人先発の槙原を攻め2死一、二塁とチャンスをつかんだ。ここで3番バースが、初球をバックスクリーン直撃の1号逆転3ラン。4番掛布は、バックスクリーンやや左に本塁打。5番岡田もアーチを描き、前代未聞のバックスクリーンへの3者連続本塁打。工藤-福間を継いだ中西がプロ初セーブでこのリードを守り、阪神が6-5で快勝。21年ぶりの優勝に向け最高の形で弾みをつけた。

◆08年開幕3戦目の重盗 横浜に開幕2連勝で迎えた、3月30日の阪神-横浜3回戦。3点リードの4回裏、2死から1番赤星が死球、2番平野が四球で一、二塁とした。3番新井の初球に重盗を仕掛けて成功。チャンスが拡大して新井の左前打で2者が生還した。平野が四球で歩いた際にすぐに二塁ベース上の赤星に視線を送っていた。赤星は「サインではなくアイコンタクト。相手はダメージ大きいでしょ? してやったりです」と胸を張った。チームは開幕3連勝で岡田監督も「ナイスゲーム」。3、4月で貯金12の開幕ダッシュを決めた。