昨年、左膝の大けがでシーズンを棒に振ったソフトバンク栗原陵矢外野手(26)が、復活への号砲を鳴らした。自身初の「開幕4番」で出場し、6回無死一、二塁で今季1号の決勝3ランを放った。開幕戦では自身初となる1発で、チームを7年連続開幕戦勝利に導いた。お立ち台では「たくさんの人に迷惑をかけながら、たくさんの人にお世話になりながら、1年間、リハビリを続けてきて本当に良かった」と、感極まった様子で話した。

攻めあぐねたロッテ先発小島のわずかな隙を逃さなかった。両チーム無得点の6回先頭で2番近藤が右前打。続く柳田が四球を選んでつないだ好機だった。王会長が「3人はベースで決まっている」と話していた「23年型打線」の中心となるトリオで試合を決めた。

昨年3月30日のロッテ戦で左膝を負傷。ちょうど1年前の31日に、シーズン中復帰絶望の診断を受けた。「一番なってほしくない診断にはなりましたし、それを受け止めなければいけなかった」。その夜、先輩の甲斐から「時間を戻せるなら戻したいだろう。だからこそ、必ず戻ってこい」などとメッセージが届いた。栗原は「それを見て、泣いたのは思い出しましたね」としみじみ言った。

大きな1歩を踏み出したが、栗原の見据える先はまだまだ高いところにある。「1年間、戦い続けたい。そのためにリハビリやってきましたし、今日だけのために今までを過ごしてきたわけではない」。復活ロードは始まったばかりだ。【山本大地】

■侍組で貴重な追加点

侍組のバットが貴重な追加点をたたき出した。3点リードの7回。1死から甲斐が左越え二塁打で出塁すると、続く1番牧原大が左翼線へタイムリー二塁打。「真っすぐを捉えることができました。2番にコンちゃん(近藤)がいるので、思い切って打ちにいくことができた」と牧原大は笑顔。さらに途中出場した周東も8回に三遊間を破る安打を放ち、近藤と合わせ侍組がすべて快音を響かせ好発進した。

◆ソフトバンク周東(途中出場からの初打席で今季初安打)「(WBC出場で)周りに遅れている感も感じていたので、打てるかなというところもあったけど、うまく入れて良かった。できるだけ早い段階で(レギュラー争いに)割って入れるようにしたい」