ソフトバンクが17年から7年連続で開幕戦白星を手にした。先発の大関友久投手(25)が、7回2安打無失点の快投。育成出身の左腕では史上初となる開幕戦の勝利投手に輝いた。昨年8月に左精巣がんの疑いのため手術を受けた苦労人が、初の大役を全う。3年ぶりのリーグ優勝に向けて、藤本ホークスが快勝で船出を飾った。

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「七分咲き」だった左腕が「満開」になった。練習の虫として知られるソフトバンク大関。7勝を挙げた昨季、その性格がゆえの悩みを明かした。「とにかく考え込む。どうしても『もっと、もっと、もっと』と。マウンドでも求めてしまうのが僕。それは勝負ではプラスに働かない」。試合で投球フォームは微修正の繰り返し。「確実に花は咲いてるのでは?」と聞くと「まだまだ全然。七分咲きぐらい。これからです」とサラリとしていた。

今春キャンプの最終日、手締めのあとに1人だけブルペンに足を運んだ。「確認したいことがあったので」。ペイペイドームのマウンドは昨年以上に硬い仕様になった。メーカー担当者とビデオ通話で30分相談し、3パターンのスパイクを発注。マウンド外で努力を重ね、マウンド上では勝負に徹することを決めた。

開幕日に合わせて、福岡県の桜は満開になった。大関の努力も、完全に花開いた。【ソフトバンク担当=只松憲】