阪神がヤクルトに並び首位に浮上した。岡田彰布監督(65)が貧打解消に打線をテコ入れ。不振の佐藤輝明内野手(24)を今季初めてスタメンから外し、「3番三塁」で渡辺諒内野手(27)を起用。4回に移籍初本塁打となる決勝アーチを放ち、守備でも好プレーが光った。新戦力の活躍で、今季初の「伝統の一戦」を勝ち越した。
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黄色に染まった東京ドーム左翼スタンドが沸きに沸いた。同点の4回先頭、2ボール1ストライク。「直球破壊王子」渡辺諒が横川の137キロカットボールを“破壊”した。「入ってくれ」。心の中で叫ぶと、打球は左翼ポール際最前列に着弾した。「なんとかいいところで1本出てよかった」。今季初先発で、移籍後初安打が決勝ソロ。「リョウ! リョウ!」とコールする虎党への自己紹介には、これ以上ない1発だ。
貧打解消へ岡田監督が決断した。今季11試合目で初めて佐藤輝をスタメンから外した。左腕横川の先発に、1軍復帰したばかりの渡辺諒をぶつけた。「最初からいくつもりだった。やっぱり結果が出なかったらしょうがないやんか。勝つためにやってるんだから」とキッパリ。「体調不良なかったら、もっと早よ、いっとったかも分からんよ」。7日に発熱、のどの痛みで出場選手登録を抹消された男への期待値は、決して低くなかった。6回1死一、二塁の守備では大城卓の三直に飛びついてキャッチ。勝利にこだわる岡田監督の采配に、攻守で応えた。
昨年10月、日本ハムからのトレードが決まった。すぐに先輩、杉谷拳士氏の電話を鳴らした。「トレードに決まりました…」「頑張ってこいよ」。激励の言葉をもらい、覚悟を決めた。オフにはソフトバンクに移籍した近藤の自主トレに今年も参加。のちにWBCで世界一の2番打者になった先輩と鹿児島・徳之島で汗を流した。「レギュラーをとって、先輩の目の前でプレーしたい」「北海道のファンの方も見てると思うので、しっかり活躍することだけを意識してやっていきたい」。新天地で新たな目標が芽生えた。
連勝で首位タイ浮上。今季初の「伝統の一戦」も勝ち越し発進で、開幕4カード連続負け越しなしは7年ぶりだ。新顔が導いた、岡田監督の阪神での監督通算400勝。「そう。わからんよ、そんなん。別にええやん」。指揮官は全く気にせず、次の1勝を目指し敵地横浜へ乗り込む。【中野椋】
◆渡辺諒(わたなべ・りょう)1995年(平7)4月30日生まれ、茨城県出身。東海大甲府から13年ドラフトで日本ハム栗山監督が松井裕(桐光学園)、柿田(日本生命)、岩貞(横浜商大)と抽選3連敗後に1位指名で入団。19年には自己最多の126安打、11本塁打。昨オフ交換トレードで阪神移籍。通算450試合、373安打、29本塁打、146打点、打率2割5分7厘。178センチ、86キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4000万円。
▼岡田監督が今季7勝目を挙げ、阪神監督として通算400勝。阪神で400勝以上は藤本監督514勝、吉田監督484勝、松木監督460勝に次いで4人目。なお、オリックスでは188勝しており、監督通算は588勝。



