ソフトバンク藤本博史監督(59)が本音でチームを語る新企画がスタートです。

日刊スポーツで開くお店の名前は、ホークス入閣前に営んでいた居酒屋と同じ「藤もと亭」。第1回のテーマは「屈辱のV逸からの逆襲」です。リーグ最終戦で優勝を逃した昨季の無念を糧に、近藤、柳田、栗原による最強上位打線の起用法など、核心を熱く語ってくれました。【取材・構成=只松憲】

 

-23年のソフトバンクは、2年連続の開幕5連勝でスタートした

藤本監督 80点かな。開幕ダッシュ成功はすごくいいんじゃないかなと思います。去年の開幕8連勝はたまたまできたこと。やはりパ・リーグは全チームが力をつけているし、ピッチャーも良くなっているからなかなか連勝は難しい。その中で5連勝ができたのはすごく大きいと思います。

-今年は目の色が違う。昨季は優勝マジック「1」としながらリーグ最終戦で敗れ、オリックスに逆転優勝を許した

藤本監督 10月2日ね(※メモ参照)。忘れはしない。オリックスに優勝をさらわれた。悔しさはあります。それまで決して捨てゲームをつくったわけでもないからね。それを考えたら、1つ1つ目の前の試合をしっかりと勝っていく。取りこぼさないように。1試合を大事に戦っていくことが大事かなと思いました。

-逆襲に燃える。今季は2番近藤、3番柳田、4番栗原の打順でスタートした

藤本監督 今のところはうまく機能してるよね。でも1年間は長いですから。近藤、柳田、栗原の順番が変わることもある。今は変えるつもりは全くないけど。3人の打順が離れることもないと思います。開幕が始まる前の理想は、栗原が5番で打点を稼いでもらうというのが一番だった。4番に右の大砲というのがよかったけど、理想と現実がうまくかみ合わないのは分かっている。今はこの打順で機能してますけど、右打者で誰か4番にいけそうだなっていう場合は入ってくる可能性はある。今のところは考えてないですが。

-特にFAで加入した近藤は重要なピースだ

藤本監督 近藤は相変わらずいいね。信用しています。今年は三振の数がいつもより多いかなって思うけど、ウチにはエース級のピッチャーがどんどん投げてくるわけだから。しっかりといい場面で打ってくれるし、いい場面でチャンスをつくってくれる。近藤への信頼は間違いないです。

-ルーキーイヤーから指導する柳田には親心がある

藤本監督 柳田はソフトバンクの看板選手。信頼して使っていきますよ。けがだけはしないようにね。近藤と柳田と栗原が1年間フルでやってもらうには、3人をうまくDHで回していく。DHが休み。足を休める。打つだけにしてね。休み=ベンチと思ってる方も多いけど、3人に限っては休み=DHでいってもらおうかなと思っています。

-3人の強打者は切り離さない

藤本監督 どのチームもそうだけど、真ん中の3人がチームを引っ張るもの。その前後が頑張れば間違いなくいい打線になる。

-前後は周東、牧原大、中村晃、今宮らが連ねる超豪華な打線になった

藤本監督 名前を見たらすごいなって思うよね。1番に周東がいて出塁したら足は脅威だし。そう考えたら3、4、5、6番はすごくいい。攻撃が4番から始まっても5番から始まっても何でもできる。そして今年は甲斐の状態がいいので期待してるんだよね。今宮も去年はキャリアハイの数字を残して、自信を持ってくれている。普通にできれば間違いなくいい打線ですよ。

-懸念事項は下位打線

藤本監督 7、8、9番がカギになる。正木と上林。今はこの2人のどちらかがスタメンに入る。正木はチャンスを与えているところなので、結果を出すこと。出さなければ名前が消えていく。厳しいけどプロの世界はそういうところやからね。

-右の大砲候補、正木には50打席チャンスを与える

藤本監督 打てないのに1年間ずっとチャンスをくれるチームはないと思う。当然勝たないといけないし、世代交代もしないといけない。その中で正木が選ばれている。本当に自分のやることだけやってね。逆に言ったら、周りのことは考えないで、自分のことだけを考えたらいいんじゃないかなぐらい。『周りが打ってくれるんだ』ぐらいの気楽な感じでやってくれたらいい。でも今はヒットが欲しくて、自分のバッティングの形ができてないような感じがします。

-今季が就任2年目

藤本監督 去年のオフはすごい補強をしていただいた。ファンの皆さんが喜べる1年にしたいです。

 

藤本ホークスが、「常勝軍団」の異名を取り戻す。

 

◆昨季メモ 10月2日、両チームのシーズン最終戦でソフトバンクがロッテに敗れ、オリックスが楽天に勝ったため、2チームが76勝65敗2分け、勝率5割3分9厘の同率でシーズンを終了。ソフトバンクはオリックスとの直接対決で10勝15敗と負け越したため、パ・リーグの規定によりオリックスが優勝となった。2球団が同率1位で終了したことは過去になく、歴史的なV逸になった。ソフトバンクは優勝マジック1としながら西武とロッテに連敗。つかみかけていた優勝にほんのわずか手が届かなかった。

◆藤もと亭 98年の現役引退後に福岡市中央区平尾で開業した居酒屋。正式名称は「うまいもんや 藤もと亭」。藤本監督がオーナーを務め、新鮮な魚料理や野菜など季節にあわせたメニューが人気だった。「元プロ野球選手の気さくな店主がいる」と話題になり、多くの野球ファンが集った。11年からソフトバンクの2軍打撃コーチに就任するため、10年12月で閉店。

◆藤本博史(ふじもと・ひろし)1963年(昭38)11月8日生まれ、大阪府出身。天理から81年ドラフト4位で南海入団。ダイエー時代の90年7月7日の日本ハム戦でサイクル安打を達成。98年途中にオリックスに移籍し、同年引退。通算1103試合出場で715安打、419打点、105本塁打、打率2割3分5厘。11年に2軍打撃コーチでソフトバンクに復帰。1軍打撃コーチや2、3軍監督を務め、22年から1軍監督。現役時代は184センチ、92キロ。右投げ右打ち。

 

▽取材後記 

藤本監督の人物像を一言で表せば「気さくなおっちゃん」だと思う。居酒屋では年齢関係なくお酒をつくって渡す。「藤もと亭」元店主の血が騒ぐのもあるだろうが、おごる姿を見たことがない。今回、日刊スポーツで独占インタビューを依頼した時も2つ返事で了承してくれた。試合前のコーチミーティングの直後、時間の合間をぬって丁寧に答えてくれた。

SNS上では「こわもてで怖い」という声もある。プロ野球の1軍監督というだけあり、ベンチでは厳しい表情を見せる時もあるが、報道陣への取材対応は律義だ。「俺は関西弁やから、文字で見ると怖くなるねん。オブラートな表現で包んでよ」と、苦笑いで何度も注文された。そんな背景を知れば代名詞の「ヒゲ」が、よりチャームポイントに思えるはずだ。【ソフトバンク担当=只松憲】