明大は投打がかみ合って6-3で早大に勝利し、2連勝で同大にとって戦後初のリーグ3連覇を決めた。初回、主将の上田希由翔(きゅうと)内野手(4年=愛知産大三河)の適時打などで3点を先制。3人の継投でリードを守り、戦前の37~38年に4連覇を達成して以来、85年ぶりとなる3季連続43度目の優勝を飾った。全日本大学選手権(6月5日開幕、神宮ほか)に出場する。慶大は栗林泰三外野手(4年=桐蔭学園)の3本の二塁打などで6-3で立大に先勝した。
キャプテンらしい、頼もしい背中になった。9回2死、上田は三ゴロをさばいたが、緊張感から両足がつって送球がバウンド。失策となり、苦笑いで足を伸ばした。次打者を内野ゴロに仕留めて試合終了。普段はあまりしないガッツポーズを見せた。「他の人が見たら圧倒的な実力があったと思うんですけど、やっている本人は毎試合、死に物狂いで戦っているので。1戦1戦みんなが必死に戦ってきたからこそ、いい結果が出たのかなと思います」と思いを明かした。
田中武宏監督(62)からは「チーム上田の初優勝を本当にうれしく思います」と祝福された。1年秋から4番を任され実績は十分だが、無口でおとなしい性格。それを理解した上で、上田は「自分が変われるチャンスだと思う」と覚悟を決めて主将に就任した。
「ありがとう」。感謝の言葉が、よく出るようになった。今まで胸の中で思っていた感謝も、言葉に出さなければ伝わらない。毎試合後にアナリストやマネジャーなど、裏方としてチームを支えてくれる仲間たちへ、必ず声をかける。試合日には、敷地内にある島岡吉郎元監督らの銅像を参拝し、校歌を歌う。先導する上田の声が、変わってきた。田中監督は「声(量)が徐々に上がっていって。去年の村松(中日)もそうでしたし、これは成長しているなと感じていました」。島岡氏が唱えた「人間力野球」は、紫紺の魂とともに脈々と受け継がれている。【保坂恭子】