巨人坂本勇人内野手(34)が、遊撃手として前人未到の金字塔を打ち立てた。遊撃で史上初となる通算2000試合出場を果たした。

07年9月2日横浜(現DeNA)戦からプロ17年目に到達。同一ポジションでも球団生え抜きは、一塁・王貞治、三塁・長嶋茂雄、外野・柴田勲に次ぐ4人目の快挙となった。5回には7号ソロを放ち、自らのバットで守備職人の偉業に花を添えた。20年の通算2000安打に続き、攻守において球史にその名を刻んだ。チームは7-4で勝利し、連敗を4で止めた。

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球場は変わっても守るべき場所はいつも一緒だった。遊撃手として通算2000試合目。坂本はいつもの景色に、積み重ねてきた日々を振り返りながら言った。「史上初ということは、今までいろいろやってきたことが継続できたからこそだと思う。でもチームが勝てたことが一番よかった」。記録よりも連敗を4で止めたチームの勝利がうれしかった。

プロ17年目、遊撃の面白さに魅了され続けている。「投げる距離も捕ってからの速さも、いろんな要素が守備に詰まってる。そういう難しさも面白い」。失策が多かった若き坂本から、1歩ずつ成長してきた。11年にリーグワーストタイの18失策。守備範囲が広いことも影響したが、単純なミスも多かった。

12年1月、当時ヤクルトの宮本慎也氏の自主トレに参加して、守備への考え方がガラリと変わった。遊撃と三塁で計10度のゴールデングラブ賞に輝いた名手から教えてもらった内容を記したノートは、7日間で15ページにも及んだ。中でも強調されたのがキャッチボールの重要性。毎球ごとに回転を確認し、修正する。「キャッチボールって本当に大事。いまだに練習のキャッチボールですごく意識してやってるつもり」と継続する。この日も秋広と丁寧にボールを投げ合った。

宮本塾で鍛えられた守備のための下半身が、打撃に生かされている。腰を低くしたまま、ひたすらゴロ捕球する中で、打撃の強化にもつながった。5回先頭、元同僚のロッテ・メルセデスから7号ソロ。試合前練習で行われる俊敏性のテストでは、チーム内最速で今季の自己ベストを更新し続けている。34歳とは思えぬ若々しい肉体を維持することが、攻守両面でトップを走る秘訣(ひけつ)だ。

打って守ってたどり着いた金字塔。「準備は怠らないでやってきている自負がありますし、日々のケアだったりトレーニングだったりの積み重ね。やるのは当たり前だと思っています」。今日も変わらず、遊撃手としてグラウンドに立つ。【小早川宗一郎】