阪神大山悠輔内野手(28)がチーム初安打を決勝打に変え、ロッテ佐々木朗攻略の主役を張った。6回1死三塁で右前に先制打。4番主砲は「チームでもぎ取った1点」と強調した。

試合前、岡田監督ら首脳陣はミーティングで指令を出していた。指揮官は「とにかく低めを振らない。出たら、走れていうかね。今日だけは見送り三振はOKて言ってたから」と振り返る。「令和の怪物」を相手に、ナインは全員が束になって勝負どころをうかがった。5回終了時点で無安打も、78球を投げさせて3四球を選んでいた。

チーム無安打のまま0-0で6回を迎える直前、今季51試合目で初めて今岡打撃コーチが円陣で指示を出した。あらためてミーティング内容を再確認した。すると先頭の2番中野が四球で出塁。3番ノイジーへの4球目、フォークが投じられたタイミングで二盗。さらに4番大山への1-2からの4球目フォークが暴投となり、この日初めて三塁へ進んだ。そして、大山が5球目の浮いたフォークを右前に運んだ。

中野が三塁へ進んだことで内野手が前進し、低めに投げづらくなった状況を作り出したからこその失投。大山は「(佐々木朗は)すごかった。速くて変化球もキレがあったし、制球もよかった。フォークが浮いてくれてよかった。拓夢(中野)がああやって走ってくれた結果」と後輩に感謝、感謝だ。これで4番はチーム最多、リーグ2位の33打点。得点圏打率は3割3分3厘を誇る。「とにかく勝ちたい、その一心だけ」と強調する姿勢が首位快走の原動力となっている。

岡田監督は「いつもこんなやったらあかんけど。もうちょっとヒット打たなあかんけどな。まあ相手投手の力からいくと、こういう点の取り方しかないんかないうのはあるよね」と納得顔だ。3年連続の対戦で初めて黒星をつけた。わずかなスキを突いて難敵を倒した事実が、若いチームの自信となる。【石橋隆雄】

 

○…阪神中野が「令和の怪物」攻略への突破口を開いた。6回、先頭で四球出塁。続くノイジーの打席で二盗を決め、暴投で三塁へ。大山の先制打を呼び込んだ。「あの打席、なんとか出塁しようっていう感じで打席に向かった。盗塁もしっかりいいスタートを切れた。得点につながって良かった」。選球と足でチームに流れを引き寄せた。