ついにベールを脱ぐ時がきた。昨オフに米レンジャーズから日本球界に復帰したソフトバンク有原航平投手(30)が6日、「日本生命セ・パ交流戦」のDeNA戦(ペイペイドーム)で移籍後初登板初先発する。

5日に本拠地で調整。同戦での登板予定だった大関が体調不良で回避したため、代役として出番が回ってきた。日本ハム時代には在籍6年で通算60勝をマーク。実績十分の右腕が満を持して鷹のデビュー戦に臨む。

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突然、巡ってきた出番に有原は強い決意をにじませた。「ここからが本当にスタートなので、大事な1試合になると思います」。待ちわびた1軍での移籍後初先発を翌日に控え、自然と言葉にも力がこもった。当初は大関が先発する予定も、体調不良で登板を回避したため、代役として白羽の矢が立った。「とにかく『結果を出したい』という、それだけです」と勝利のみを見据えた。

最善を尽くしながら、チャンスを待った。米レンジャーズから3年ぶりに日本球界へ復帰。斉藤和投手コーチが「開幕から(1軍に)いてほしいと、キャンプの時は思ってたから」と言うように即戦力として大きな期待をかけられていた。だが、状態がなかなか上向かず、開幕から2軍での調整が続いた。有原は「1軍で投げたい思いはずっと持っていた。真っすぐの質、制球をやってきた」とファームでは課題と向き合いながら、着実にステップを踏んできた。

ウエスタン・リーグでは計8試合に登板し、2勝0敗。防御率3・83も、数字以上に手応えを口にする。「状態は本当に良くなっていると思っている」と言い切った。斉藤和投手コーチも「要所要所のボールは、しっかり投げきれるようになってきた。完封してほしいね」と笑顔でゲキを飛ばした。

日本ハム時代には19年に最多勝(15勝8敗)のタイトルを獲得し、在籍6年で通算60勝をマークするなど実績は十分。DeNAとは16年交流戦で1度だけ対戦しており、完封勝ちして以来2度目の顔合わせとなる。「シンプルに低めに強い球を投げたい。それだけです」と相手打線への意識はなく、自然体を貫く。本拠地6連戦の初戦で期待するタカ党の声援も背に受け、新天地デビュー戦を勝利で飾る。【佐藤究】