青学大(東都)が5-2で富士大(北東北)に勝ち、05年以来5度目の優勝に王手をかけた。2回、苦労人の中野波来(はる)外野手(4年=大阪桐蔭)が2点適時二塁打を放ち、流れを引き寄せた。

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悲願の日本一へあと1つ。中野はチームの勝利のためにバットを振った。1-1で迎えた2回2死二、三塁。「チームに勢いをつけたくて。結果はどうでもいい。振っていこうと思いました」。打球は勝ち越しとなる中越え適時二塁打。中野の一打で打線に火がつき10安打5得点と快勝した。

3年春夏、ひとりぼっちの優勝旗返還の悔しさは忘れない。大阪桐蔭時代は春夏連覇した中日根尾、ロッテ藤原の1学年下の主将を務めた。「なかなか勝てなくて、負けたらどうしよう。常にその不安と隣り合わせでした」。連覇のプレッシャーで胸が苦しくなる。消灯後には耐えきれず、口にタオルを当てルームメートに声が聞こえないように1人で泣いた。3年春夏、甲子園出場は果たすことはできなかった。

卒業から4年がたち、今、当時の自分がよく見える。「主将として全部1人でやろうとして、追い込まれていたんですね」。現在は副主将として中島大輔主将(4年=龍谷大平安)を支える。高校時代、1つ上の主将、中川卓也内野手(現東京ガス)に言われた言葉「お前次第でチームは変わる」を支えに、誰よりも大きな声を出し、雰囲気作りを忘れない。「1人の優勝旗返還の悔しさは、大学で晴らすと決めてきた」。4年間の思いを込め、決勝戦を戦う。【保坂淑子】