そら“逃げ馬”よ―。阪神岡田彰布監督(65)が、首位独走逃げ切りでの「アレ」達成を宣言した。24日は甲子園で投手野手の指名練習を実施。一時は8月末が勝負をかける時期と位置づけていたが、8月16勝と想定外の成績で「ムチを入れんでも逃げるやろ、〝逃げ馬〟は」と余裕しゃくしゃくだ。この日広島がDeNAに敗れたため、優勝マジックは23に減った。このまま悲願のゴールまで猛スピードで駆け抜ける。

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岡田監督は晴れやかな表情で、久々の甲子園の空気を堪能した。「懐かしいなあ。久しぶりやな」。貯金14で「死のロード」と言われる8月に突入。約1カ月後、「12」も上乗せして聖地に凱旋(がいせん)した。高校野球決勝から一夜明け、一塁側アルプススタンド前方の席に腰をかけ、現在の心境を明かした。

「出来すぎや。甲子園帰るまでにこんな勝つと思ってなかったよ。夏のロードはもっと負けると思ってたからな。そんなムチを入れんでも逃げるやろ、“逃げ馬”は。普通にみんなが役割を果たしたらなあ」

チームの現在地を競馬でスタートしてすぐ先頭に立ち、そのままゴールへと向かう作戦を取る馬に例えた。当初は高校野球終了後の8月末が勝負をかけるポイントと位置づけていたが、8月は指揮官も想定外の破竹の10連勝を飾るなど、6年ぶりの長期ロード勝ち越しを決めた。8月はすでに16勝を積み重ね、残り5試合で球団新記録となる月間20勝も視界に捉えている。19勝した5月と比べても「今が一番強いな。地力がついたというかな、やるべきことがわかって、役割分担とか。野手もピッチャーもな」と手応え十分だ。

それぞれが与えられた仕事を全うしていることで、「勝ちが安定している」と分析する。「このパターンやったら『これ最後勝てるな』というのがあるやんか、雰囲気が。負けゲームでもこっちがこけて負けるようなそんな負け方じゃないからなあ」。勝利が疲労軽減にもつながっており、「ピッチャーが打たれる時はしゃあないけど、そういう負けはそんなこたえへんでやっぱり」とうなずいた。

25日からは巨人との敵地3連戦に臨む。今季の対戦成績は12勝4敗1分けと大きく突き放しており、残り1勝で3年連続のシーズン勝ち越しとなる。東京ドームは7月1日から1分けを挟み4連勝中で、同一年5連勝となれば球団最長タイ記録だ。現役時代からしのぎを削ってきた巨人原監督との対戦でリードしており、「そら(気分は)悪くはないよ。明日も楽しみやな。(メンバー表交換で)なんて言うか」と頬を緩めた。

シーズンは“最終コーナー”にさしかかった。このまま独走の「大逃げ」で、堂々の1着フィニッシュを決める。【古財稜明】

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