「アレ」の瞬間、甲子園のマウンド上で鉄仮面が破顔した。阪神岩崎優投手を中心に虎ナインが一目散に集結。球場全体が歓喜に包まれた。「勝てばたくさんの人が喜んでくれる。やりがいを感じたシーズンでした」。

10年目の今季はセットアッパーから始まり、湯浅の離脱で5月から守護神に定着。シーズン半ばからは1つの球種で緩急をつけ、投球のテンポを変えるなど工夫を凝らした。「気づいた点があればできるだけ早く。後から言うよりも今起こっていることを伝えるのが一番分かりやすい」と後輩への助言を送り続けながら、自身初のタイトル争いに食い込む31セーブを挙げるなど、成績で引っ張った。

岡田監督の「普通にやるだけ」という常とう句が、左腕の心に留まった。「それが自分にも刺さったじゃないですけど、自分にできることをしっかりやるだけというか、余計なことを考えなくなりました」と感謝した。ブルペンリーダーが、MVP級の活躍で若い投手陣を先頭で引っ張った。【古財稜明】