やっぱり頼りになる! ソフトバンク近藤健介外野手(30)が23号決勝3ランでチームの連敗を2で止めた。1-1の初回無死二、三塁、ロッテ種市から右翼スタンド上段へ推定飛距離131メートルの特大アーチを突き刺した。9月の月間打率は2割5分。首位打者を争う主軸が本調子を欠きながら、Bクラス転落の危機もあった一戦で勝負強さを発揮した。勝率は5割に戻り、2位ロッテと1差、4位楽天と1・5差とした。
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どこまで飛んでいくのか。豪快に振り抜いた瞬間、近藤は柵越えを確信した。右越えに131メートルの特大アーチだ。4番の風格を漂わせ、ゆっくりと歩き出した。「あの辺に引っ張れた打球もなかなかなかった。全体的に感触は良かった」。鷹党の歓声を心地よさそうに聞き、ダイヤモンドを周回。お立ち台では「ほんとうに力になって打てた1発。後押ししてもらいました」とファンへの感謝を忘れなかった。
1回に柳田の適時打で同点とし、なお無死二、三塁。カウント1-1から種市の内角高め137キロスライダーをバットの芯で完璧に仕留めた。4戦ぶりとなる23号3ランで勝負を決め「チャンスだったので最高の結果になった。いい1発だったかなと思います」と自画自賛した。82打点はリーグトップ。打率2割9分9厘、23本塁打はともに同3位。3冠王争いの中でも貴重な一撃となった。
近藤が打てなければ、勝機が薄れる。9月は月間打率2割5分とやや低空飛行。直近6試合で1打点だった。チームも所沢、北海道、仙台の敵地8戦は3勝5敗と波に乗りきれなかった。「思うような打撃ができていなかった。こういう大事な時期には結果が求められる」と主軸として責任感を口にする。「日々、試行錯誤しながら準備していますし、1日1日対応していけるように」。本調子ではなくてここぞの場面で勝負強さを発揮する。それが近藤だ。
チームは連敗を止めて再び勝率5割。2位ロッテに1ゲーム差に迫った一方、4位楽天と1・5ゲーム差と依然としてBクラス転落の危機とも隣り合わせ。「上も下(のチーム)もどうなってもおかしくない」と危機感を募らせる。3年ぶりのリーグ優勝を逃し、見据えるのはクライマックスシリーズ(CS)を突破しての日本一のみだ。「もう、こっからが大事になってくる。1つ1つ目の前の試合に勝てるように。それにつながる一本を打てればなと思います」。残り11試合。Aクラス死守はもちろん、CSの本拠地開催を目指し、頼れるバットマンがその一打に懸ける。【佐藤究】
▽ソフトバンク藤本監督(残り11試合に向けて)「もう1戦1戦、一戦必勝で戦っていくしかないんで。全力で残り試合を頑張っていきます」