あかん、もう不安材料見つからへんで!阪神森下翔太外野手(23)が「3番右翼」で2試合ぶりにスタメン復帰し、二塁打2本を含む3安打で復活を印象づけた。不振続きから一転、23打席ぶり安打から一気に息を吹き返した。チームは初回4得点から着々と加点し、14安打9得点の猛攻でヤクルトに大勝。先発の大竹耕太郎投手(28)は8回3失点で今季12勝目だ。少~し心配だった「3番問題」にもあっさり光が差し始め、CSファイナルステージへ盤石の準備が続く。
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長いトンネルを抜けるきっかけは“ラッキーヒット”だった。3回無死二塁。森下はプロ入り当初に使っていた軽めのバットに戻して打席に立った。ヤクルト右腕ロドリゲスのカーブを約870グラムの相棒で強振。フラフラと上がった飛球を右前に落とすと、安堵(あんど)が表情からにじみ出た。
「打っていなかったので、とりあえず1本出たことは素直に良かったなと思います」
23打席ぶりの安打が気持ちを楽にしたのだろうか。一気に勢いを取り戻した。4回1死では2番手高梨の甘く入ったフォークを見逃さず、左翼フェンス直撃の二塁打。あと数十センチでフェンスオーバーとなる長打でチャンスメークした。6回は先頭で大西の初球を左前にはじき返し、プロ6度目の猛打賞を決めた。「3番でヒットが出れば得点に絡める。そういうことが分かった試合でした」と胸を張った。
前日22日のヤクルト戦はスタメン落ち。それでもルーキーは地に足がついていた。「特に気にしてはいない。チャンスをもらったら打つ気持ちでいるので、そこは変わらずにやっていきたい」。打席に入る姿勢や位置、バットの重さ、タイプ…。地道に試行錯誤を繰り返した。「本来の自分のバッティングを見つめ直しました。バットを出す前の段階を修正した」。打てない期間も自己分析を怠らず、壁を乗り越えた。
スタメン落ちを経て、3安打で再び上昇気流に乗ったルーキーに、岡田監督はホッとひと安心だ。前日の練習中、指揮官は悩める男のフリー打撃を真後ろからチェックした後、アドバイスを送ったのだという。「昨日もちょっとはマシになった。バットの軌道もなあ、ちょっとズレとったから」と胸をなで下ろした。
この日は15年に急逝した中村勝広元GM(ゼネラルマネジャー)の命日だった。かつて目指した生え抜き中心のチームで快勝し、虎を愛した名伯楽もきっと天国で納得顔だろう。「今日はきっかけに過ぎない。もっともっとここから状態を上げていきたい」と森下。少し気がかりだった「3番問題」にもメドがたち、虎が盤石だ。【三宅ひとみ】
▼阪神の新人森下が3安打。1試合3安打以上は6度目。森下は3回に安打を放つまで、15日の広島戦の4打席目から22打席ヒットがなかった。これは4月4日の広島戦の4打席目から、2軍落ちの期間を含め5月20日の広島戦の4打席目にヒットを打つまで、23打席無安打だった自己ワーストに次ぐ長さだった。