阪神村上頌樹投手(25)は、防御率1・68でリーグトップを走る。25日の中日戦で3回2/3を投げれば、規定投球回数にも到達。最優秀防御率のタイトル獲得も濃厚で、新人王の有力候補でもある。
そして、実はもう1つの“プロ野球記録”にも手が届きそうな位置にいる。投手の安定感を示すセイバーメトリクスの指標、WHIPも0・73とダントツなのだ。WHIPは1イニングに何人の走者を出したかを示すもので、1・00を切れば超一流と言われる。今季の両リーグの規定投球回到達者(24日現在)21人中、0点台は村上含め5人しかいない。
その中でも村上の0・73はずばぬけている。139回1/3を投げて、安打が87(被打率1割7分8厘)、与四球はわずか15。ヒットを打たれず、歩かせることも少ない。安定感抜群の投球は、数値にも表れている。
50年の2リーグ分立後、規定投球回に到達した投手でWHIPが最もいいのは、59年村山実(阪神)の0・7483だ。1リーグ時代には36年秋の景浦将(タイガース)の0・72があるが、36年秋は試合数が31と少なく、景浦の投球回も57イニングしかないため、実質的には59年の村山がNO・1といっていい。シーズン記録の上位には、村山をはじめ金田や小山、杉浦、ダルビッシュら伝説級の投手が並ぶ。
WHIPはNPBでは公式記録ではないものの、今季からパ・リーグ記録集には掲載されるようになった。村上は、村山はおろか、景浦の記録をも超え“プロ野球記録”を更新しそうな勢いだ。中日戦では、規定投球回到達と防御率だけでなく、WHIPにも注目だ。【高垣誠】
◆WHIP(Walks plus Hits per Innings Pitched)セイバーメトリスクの指標のひとつで、投手が1イニングに何人走者を許したかを示す。(被安打+与四球)÷投球回で算出され(安打と四球のみ。死球や失策などは含まない)、メジャーリーグでは公式記録として扱われている。投手の安定感の目安で、数字が低いほどいい。WHIPは平均が1・20~1・30で、1・10以下で一流、1・00未満で超一流とされる。