2位ソフトバンクに続き、3位ロッテもクライマックスシリーズ(CS)進出に王手をかけた。オリックス戦では「ブルペンデー」の先陣を切って、沢村拓一投手(35)が同じくブルペンデーだった巨人時代の20年7月25日ヤクルト戦(神宮)以来約3年ぶりの先発登板。1回無失点で流れをつくり、救援陣8人で1失点でつないで快勝した。残りは2試合。7日の同戦の結果次第では、3位以内が確定する。

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「マリーンズのピッチャー、サワムラ~」。ロッテ沢村の先発を告げる場内アナウンスに満員のスタンドが沸いた。普段は右翼席脇のゲートから約90メートル走ってマウンドに上がるが、ベンチからの約30メートルのみ。準備を含めて、勝手は違うはず。整備されたきれいなマウンドに6足分測って線を引いた。ここからはいつもと一緒。第1球は151キロ直球だった。

1168日ぶりの先発登板だったが「何も変えることはなかった」と言いきった。リリーフ時と同じ“時間割”で、肩をつくる時間や投球数も同じにして午後6時開始に合わせた。それでも「予告先発が出てから、いろいろな人から『先発するんだね』と連絡をくれて、普段何も言ってこないチームの仲間も『頑張って下さい!』と言ってくるので変な緊張感の中で今日を迎え、緊張しまくって球がまったく走りませんでした」と苦笑い。先頭の福田に左前打で出塁を許したが、1死後に中川圭をスプリットで空振り三振。最後も森に粘られながらも二ゴロ。1回1安打無失点。表情を変えぬまま、2番手の横山にリレー。CS争いの中での役割を果たした。

今年1月末、レッドソックスから3年ぶりにロッテに復帰。「勝つためにきた。チームを鼓舞するような戦う姿勢、気持ちを持ってファンのために頑張りたい」と吉井監督らとの共闘を誓って発進した。石垣島のキャンプから早朝トレーニングを行うなど自身の姿勢を背中で示してきた。8月に「可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群」で約1カ月の離脱。復帰後の先月24日には発熱により抹消。この日が復帰戦。山あり谷ありの1年だったが、投手陣の精神的支えとしてもチームを支えてきた。

「チームが勝たないと次には進めない。次につなぐことだけでした」。その思いは仲間にも伝わり、CS進出へ王手をかける大きな1勝。ZOZOマリンでCS開催が出来る2位の可能性もつないだ、気迫の22球だった。【鎌田直秀】

 

▽ロッテ吉井監督(ブルペンデーの快勝に)「沢村で最初のスタートが決まったので、後からいくピッチャーがオレもオレもってなってくれたと思います。でも、やりたくない作戦です」

▽ロッテ中村稔(8投手の中で唯一の2イニングを3番手で投げ、1安打無失点で勝ち投手に)「しっかり無失点でつないでくださったので、そのバトンを自分もチーム一丸でつないでいこうと、テンポ良く投げられて良かった」

▽ロッテ佐藤都(打っては3安打、守っては8投手をリード)「バッティングは良いところに飛んだなあって感じです。沢村さんから始まって千隼さん(佐々木)まで1失点でも少なくと思っていたんですけれど、坂本さんが失点してしまったのでケツをたたいておこうと思います」

◆パ・リーグのCS争い ソフトバンクは7日の楽天戦に○か△でCS進出が決定。ロッテは7日のオリックス戦に○、△の時はソフトバンクが○か△ならば進出が決まる。ソフトバンクが●で、ロッテが△か●のケースは、リーグ閉幕日の9日に3チームで残り2枠を争う。

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