西武山川穂高内野手(31)が11日、フェニックスリーグ巨人戦(南郷)で153日ぶりに実戦出場した。自身の不祥事発覚から、この日でちょうど5カ月。3軍で練習を続け、司法判断や球団内処分を経て、ようやく非公式戦でのプレーを許された。安打はなかったが3打席に立ち、新境地の三塁守備にも挑戦。試合後の練習も終え、ようやくホッとひと息ついた言葉に、情感がこもっていた。
◇ ◇ ◇
山川はグラウンド外で、1人の社会人として非難されるだけのことをした。同時に、ほとばしる野球愛の持ち主でもある。試合に出た。自然とこぼれる。
「楽しかったっす…」
18・44メートルを挟んでの敵とのやりとり。「スリルとか駆け引きとか一喜一憂とか、そういう部分を含めて野球なので」と言った。4番打者としての2回の第1打席。巨人直江の手から白球が離れた。141キロに少しだけタイミングがずれた。「あーっ」と言いながら走り出す、中飛だった。
「バットスイングが起きた時って(軌道の)半分くらいしか見えないので。そこから先は感覚というか勘に近い部分もあるので、勘が取り戻せると。でも、今日の内容はすっからかんではないかなと思います。センターにフライを打てたのもそんなに悪くないです」
その後2四球も選び、5カ月ぶりの実戦を終えた。自責ゆえの空白ながら、長かった。「WBCとかもう、5年くらい前に感じるんです」と打ち明ける。1軍に呼ばれることが絶対にない時間を使い、三塁の守備練習を始めた。
「春のキャンプの時から、半分本気、半分冗談でお願いしていたんですよ」
打者としての実績を重ねた30代、なぜ三塁を。
「一塁をなめてるわけじゃ、もちろんないです。でも一塁だけだとスローをしなくなるので。足を使うのって大事なので」
この日は3度の守備機会があり、打球をはじくこともあったが、三-二-一の併殺も完成させた。「うわっ、怖っ!!!!」と三塁線を警戒しながらも、何より楽しそうにこなした。
今月には故障者特例措置で国内FA権を得る見込みだ。「まずは目の前のことを」と励む。今季は序盤から「マキノンが一塁手向き」との首脳陣判断があった。残留を決断すれば「三塁山川」は双方にメリットのあるオプションになる。
実際に三塁を守るかは「分からないっす」と言う。12日の試合に出るかも「分からないです」。霧の中、来年のペナントレースまであと5カ月半。牛歩とはいえ、前に進むことだけは許され始めた。【金子真仁】
○…山川の復帰戦には約100人の野球ファンが集まった。第2、第3打席では「山川穂高ここで1発、高らかにアーチ描こうぜ♪」と応援歌をリピート熱唱する20代男性ファンも。「やってしまったことは悪いですけど、WBCで僕たちを感動させてくれた選手がこれで終わってしまうのは。一からスタートしてほしくて、力になれればなと思いました」と話していた。
▽ソフトバンク山村プロスカウト(久しぶり実戦で三塁守備もした山川について)「普通にできている。素質は間違いないし、動けているよ」



