春夏甲子園出場の履正社・福田幸之介投手(3年)は中日に4位指名された。福田の名前が呼ばれると、チームメートから歓声が上がった。「素直にうれしい。やったーという感じ。3人で喜びました」。母寿子さん(44)、姉菜乃さん(20)と喜びをかみしめた。

中日は「堅いイメージがある」と語ったが、大野雄大投手や小笠原慎之介投手など好左腕がそろい、「すごいなと思います」と弟子入りを志願。1年目の目標には「食らいついて1軍で」と持ち前の強心臓で挑む。対戦したいバッターには巨人岡本和真内野手(27)を挙げ「日本代表する打者。自分の球が通じるか試したい」と心待ちにする。

身長180センチの長身からから、最速151キロの直球とキレのある変化球を投げ込む本格左腕。気迫を前面に押し出す投球スタイルも持ち味だ。福田が一躍注目を浴びるきっかけとなったのは、今夏の大阪大会決勝。大阪桐蔭相手に3安打完封を果たした。同じ左腕で1年時からその背中を追ってきた前田悠伍投手(3年)に投げ勝った。

夏の甲子園では「全国に名前をとどろかせたい」と、書道8段の腕前で帽子のつばに「轟(とどろき)」の文字を書き込んだ。高知中央との2回戦に先発すると、6回4安打2失点の好投で16強に導いた。

入学時は同学年の投手の中で3番手。書道で身につけた集中力で、走り込みや瞬発系トレに励み、2年秋140キロ前半だった球速は、一冬で150キロに到達した。課題の制球力も「誰よりも練習してきた」という自信が安定感につながった。負けず嫌いで研究熱心。真っ向勝負の直球で、プロの世界へと飛び込む。【村松万里子】

大阪府出身、180センチ・77キロ、左投げ左打ち。