日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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2024年は日本プロ野球が激しく揺れた「球界再編」から20年目の節目になる。怒濤(どとう)の日々は、大阪近鉄バファローズの命名権売却案が契機だった。

複数の経営トップで1リーグ構想がうごめき、IT企業が参画、球界初のストライキが決行され、楽天参入、ソフトバンクの福岡ダイエーホークス買収などが、1年にいっぺんに起きた。

ネーミングライツは巨大圧力によって暗礁に乗り上げて行き詰まる。先んじて「もはや近鉄はオリックスと合併の道を探るしかない」と論じものだ。そしてパ・リーグは新時代に突入していくのだった。

かつては「人気のセ、実力のパ」といわれた。「巨人、大鵬、卵焼き」が流行語で、巨人戦の恩恵にあずかってきたセ・リーグと違って、パ・リーグは貧しかった。

さまざまな趣向を凝らしながら生き残ったパ・リーグ改革の1つが、「CS(クライマックスシリーズ)」の前身だった「プレーオフ制」だ。それがCSへと変わっていく。

07年にセ・リーグが参戦する形で、セ・パ両リーグ同時に「CS」としてスタートしたのが始まりになった。今年の日本シリーズは、2位以下を圧倒した阪神、オリックスの順当な組み合わせになった。

これが違うカードだったら、SNS上はざわついて炎上していたはずだ。そこでCS制が変化を求められている今、カギを握っているのが、パ・リーグの動向だ。

セ・リーグはCS改革を前向きにとらえているという。現時点でCSを取りやめるといった選択肢はない。イベントの開催を前提に、諸問題をクリアしていくといった姿勢のようだ。

しかし、パ・リーグからCS制を変えたいという本気度は伝わってこない。もしCS改正に積極的ではないとしたら、それはなぜだろう。消化試合が減っていることだけで満足し、その気がないのか。

セ・パ各リーグが独自色を打ち出すのは構わないが、ポストシーズンに関しては歩調を合わせるべきだろう。それをわかっていながら相反するとしたら原点に立ち返るべきだ。

あの球界再編で激動したシーズンにうたわれたフレーズがある。プロ野球はだれのものなのか? あなたたちのものではない。それは、ファンのためのものだ、と…。