今季のベストナインは28日に発表される。日刊スポーツ評論家・里崎智也氏(47)は昨年から、野手の成績を客観的に数値化する独自のベストナイン選出にトライしている。陸上10種競技を参考にした「里崎流選出法」で浮かび上がった今季のベストナインは…。【データ担当=多田周平】

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記者投票で決まるのがベストナインですから、番記者の絶対数の違いで、投票に偏りが出ます。記者投票制を採用している以上避けられません。各ポジションで最も活躍した選手が獲得すべきタイトルですが、メディア側の事情で得票数に納得できないファンの方もいると感じています。

そこで、客観的データだけを判断基準に、オートマチックに選出してみます。

各項目のポイント換算は、別表の通りで、ここからはじき出された数字だけで選ぶと、こんな顔触れになりました。皆さんの予想とどれだけ違いがあるでしょうか。

パ・リーグで、各項目での9ポイント以上の高得点は、捕手森の失策での満点「10」、外野手では近藤の四球「9・5」、さらに失策で「9」をマークした近藤、柳田、松本剛がいます。

セ・リーグでは、三塁宮崎が首位打者を獲得した打率「9」、外野近本の失策での満点「10」になりました。高得点が失策部門になるのはひとつの傾向です。

注目は両リーグ首位打者の宮崎「9」と頓宮「7」。2ポイントの差がついたのは、打率の違いです(宮崎3割2分6厘、頓宮3割7厘)。単純に両リーグの打率を比較はできませんが、これも客観的データを指標にした上での特徴的な数字と言えます。

こうしてはじき出したデータを合算してベストナインを選んでみると、まずセ二塁の牧と中野が接戦だったことがわかります。両者ともにリーグ最多安打164本で並び、長打で牧が引き離しますが、対して盗塁、四球で中野が巻き返します。最終的には牧が突き放しましたが、高いレベルでの戦いでした。

さらにきわどい争いは外野手での細川と佐野です。どの部門でも拮抗(きっこう)しており、まさに甲乙付けがたい争いでした。数字を見比べても、白熱した2人の争いが伝わってきます。

なお、岡本和は三塁で宮崎に差をつけてトップですが、一塁でも大山、オスナよりもポイントで上回っています。岡本がどちらで得票を伸ばすか注目ですが、里崎式でも両ポジションで受賞するだけの成績を収めています。

1年間、選手が戦った結果です。こうして見ると、数値化したベストナインにも、各選手の踏ん張りと健闘が見えてきますし、結果だけでなく、各部門の数字を見比べながら振り返る作業も楽しめます。(日刊スポーツ評論家)