阪神中野拓夢内野手(27)が今オフも「WBC調整」を参考に来季に向かう。3月のWBCに照準を合わせた昨オフ。今回も方法を大きく変えることなく、ペースを見極めて調整する意気込みだ。「(昨オフは)自分のペースで1人で始めていたので、そこは変わらず。そういう作り方をして、うまく1シーズン行った。(今オフも)するかは分からないけど、自分のペースを見つけてゆっくり作れたら」。世界一をつかみ、チームでも不動の「2番二塁」として日本一に貢献。プロ3年目の「成功例」をもとに仕上げていく。

今季からコンバートされたセカンドの守備位置では、いきなりのゴールデングラブ賞獲得となった。さらなる高みへ、課題に挙げたのは左打者の「トップスピン」のかかるゴロ処理。とりわけ印象に残るのは巨人吉川尚の打球だという。「吉川さんとか、『こねて』打ってくる打者のトップスピンで、さされてしまうことが多かった」。

WBCで遊撃も任される予定だった今年に比べ、来年2月の春季沖縄キャンプではより二塁の守備に集中できる。昨年に続き鳥谷敬氏(42=日刊スポーツ評論家)も臨時コーチとして来訪予定。掲げた課題も含め、プロ野球史上5位となる667試合連続フルイニング出場を果たした鉄人へ質問の準備も万全だ。「1年間戦うためにはなるべく抜いて投げることとか、体をうまく抜く使い方をいろいろ教えていただいた。そのあたりも、もう1度教わりたい」。チームで唯一フルイニング出場を果たした今季。オフの学びを肥やしに、狙うは2年連続のフル出場だ。

◆阪神中野の今季

▼侍ジャパン選出 1月26日にWBCに臨む日本代表に選出された。チームでは岡田新監督の方針で遊撃から二塁へコンバートされた。代表では栗山監督から遊撃と二塁の両ポジションでのプレーを求められた。阪神のキャンプでは二塁守備の練習を徹底。2月半ばから合流した代表合宿では遊撃、二塁守備に入れ替わりで入るなどで対応した。

▼世界一メンバー 3月のWBCでは5試合に出場。遊撃源田(西武)の負傷で遊撃に入るなど幅広い役割をこなし、3回目のWBC優勝に貢献した。

▼公式戦でもけん引 オープン戦は1試合しかこなせなかったが、開幕戦から「2番二塁」で出場。そのまま最終戦まで全143試合フルイニング出場した。CS、日本シリーズでもフル出場で、日本一になったチームを引っ張った。

▼球宴で初H 7月のオールスターにも、新人の21年から3年連続で出場。第1戦で球宴初安打を記録した。

▼菊池の牙城崩す 二塁手としてゴールデングラブ賞を初受賞。10年連続で受賞していた広島の名手・菊池に競り勝った。

▼1億円選手 12月の契約更改で8000万円増の1億5000万円(金額は推定)でサイン。「ここまでいい経験をしていいのかな、というぐらい濃い1年でした」と振り返った。

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