岡田節は今年もキレキレだった。12球団監督会議が16日に都内のホテルで開かれ、座長の阪神岡田彰布監督(66)が昨年に続き、複数の「岡田構想」を提言した。タイトル争いにしのぎを削る選手を思っての「記録員のコミュニケーション」に、真剣勝負を楽しむファンの目線にも立った「審判員へのあいさつの簡略化」。吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)との正月対談で予告していたもので、忖度(そんたく)なしの意見を次々に出した。

   ◇   ◇   ◇

2年連続で座長として会見に臨んだ岡田監督は、風格たっぷりだった。1時間40分にわたる監督会議をまとめ、自らも忖度(そんたく)なく言葉を発した。

まず要望したのは、記録員との対話だ。「いつも(試合前の)アナウンスで名前聞くだけやからな、おーん。顔と名前が一致せえへん言うたんよ。ちょっと、コミュニケーション欲しいよな、はっきり言うて」。少しでも顔見知りなら、記録される選手の受け取り方も違うものだ。指揮官の記憶に残るのは、現役時代の名物記録員だった河野祥一郎さん。試合前にはグラウンドに下り、その日の土の状況を確かめながら、会話をするのが常だった。

「最近グラウンドよくハネるねとか、そういう会話だけでもしてたら選手もだいぶ楽やんか。やっぱり自分の目で(近くで)見るのも大切やと思うけどなあ。映像で判断って、家でもできるからな」。スタンドからだけでは分からない、毎日の小さな違いも感じてほしい。「シビアにタイトルに向かって頑張っている。そう簡単に、あれはエラーや、あれはヒットじゃなしにな。競ってきたら余計敏感になるんちゃう」。セ・リーグで2年連続で最多安打が2人並んでおり、日々戦う選手を思っての提言だった。

2つ目は、試合中の審判員へのあいさつの簡略化。選手が守備位置につく際など、帽子を取って審判1人1人に丁寧に頭を下げる姿が目につく。「守りに行く時にパッとおったら『あ、こんちわ』ぐらいでな。自然の流れでええんちゃうの」。真剣勝負の場で、過剰なあいさつはいらない。実際にファンからも指揮官へそんな声が届いていた。これには日本ハム新庄監督、ソフトバンク小久保監督も同意。「あいさつしなくても判定は一緒です言うてたけどな、そんなん当たり前やん(笑い)。それで変わったらおかしいやん」。笑いを交えながらも、ズバズバと切り込んだ。

昨年はDH導入を反対するなど、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いは野球界の発展を思うからこそ。キレキレの岡田節は、今年も健在だった。【磯綾乃】

○…座長の岡田監督が能登半島地震の被災地支援を、12球団へ呼びかけた。「なんとか少しでも協力したい。キャンプ地でも募金活動とか。NPBも全体として義援金送るみたいやけど、他に各チームでやろうというのは呼びかけた」と指揮官たちと思いを同じにした。阪神もすでに支援を検討中で「フロントと選手会にもやっぱり協力をな、選手がするのが一番やっぱりいいと思う」と全員に協力を求めていた。