イバタ式の方程式が浮かび上がった。侍ジャパンが臨む「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 欧州代表戦(3月6、7日=京セラドーム大阪)」の選手28人が14日、発表された。都内で会見に出席した井端弘和監督(48)は「WBC組×抜てき組」の相乗効果を強調。今年11月の「プレミア12」を見据えた強化試合で、1年前の世界一経験者を5選手も選出した。その一方で大学生4選手や1軍出場10試合の広島田村、2軍キャンプ中の中日石川昂らを抜てきし、融合させながら強化を図る。

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興奮冷めやらぬ1年前の余韻が漂った。井端監督が強化試合にして、世界一メンバーを5人選出した。4番筆頭候補の村上、上位打線に入る近藤、絶対的遊撃手の源田と、二遊間を組む中野、投手陣からは左腕・宮城をメンバーリストに並べた。その狙いは「代表に長くいる源田選手、近藤選手、村上選手は今回学生もいますんで、プロ野球はこういうものだ、代表はこういうものだというのを若い選手に見せてくれれば」と相乗効果を期待した。

5年前のプレミアイヤーとは打って変わって、あえてイバタ式に「二極化」させた。19年3月の強化試合でWBC経験者は巨人小林のみ。融合よりも新戦力発掘の意味合いが色濃かった。昨年3月の世界一から1年。最後まで勝ち抜いた経験を持つ5選手がいるからこそ、大学生4選手に加え田村や石川昂、育成出身の松山らを抜てき。WBC効果を追い風に融合を図る。

内野では“源田先生”を中心に、教育的指導が繰り広げられる。遊撃手として井端監督が「何も言うことがない」と言うほどの明大・宗山と練習から一緒にプレー。村上との三遊間、中野との二遊間も可能で、三塁に入れば源田とコンビが組める。外野の青学大・西川には近藤がおり「日本を代表する選手を呼んでいるので、そこで何か吸収してさらにレベルアップして欲しい」と、各ポジションに生きた教材がいる。

投手では宮城が同じ左腕の関大・金丸や、愛知工大・中村にとって、これ以上ないお手本になる。昨年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」出場で台頭した万波、小園らを加えた井端ジャパン。24年初陣に向け「まずは秋にあるプレミア12に向けて。その先のWBC、(ロサンゼルス)五輪に向けて非常にバランス良く選べた」。イバタの方程式から世界一をつかみ取る。【栗田成芳】