そら、うれしい悩みよ。三塁も踏ませず、2-0で2安打完封勝ちしたサムスン戦の直後。阪神岡田彰布監督(66)が素直な思いをもらした。

「ブルペンは8人かなあ。9人もいらんからな、そら。(左と右で)4+4とかになってくると(1軍は)結構きついよ」

先発川原が3回を0封すると、岩貞、加治屋、島本、漆原、岡留、椎葉の6人も危なげなく0のバトンをつないだ。救援陣はこの日投げなかった岩崎や湯浅、ゲラ、桐敷、石井、島本、浜地らも控える。ここから1軍に生き残れるのは右4人、左4人の8人。ハイレベル過ぎる身内バトルが、悩ましげでうれしそうだ。

この日光ったのは、8回に登板した地元沖縄出身、岡留英貴投手(24)だった。先頭を空振り三振に仕留めるなど、1回を無安打2奪三振。最速150キロを出し、本人も「よかったと思います。しっかり狙ったところにタイミングよく投げられた」と手応えばっちりだ。

「岡留ねえ、今日一番良かったな」。そう絶賛した岡田監督の頭に浮かんだのは、1年前のシーンだ。昨年2月18日のDeNAとの練習試合(宜野座)。5番手で登板した右腕は死球、暴投、四球とストライクが入らず10球で降板した。「ここでね、1年前のあの姿を見たらもう、想像つかないじゃない。1年でこんだけ変わるっていうか、そういうところはやっぱりすごい」。別人のような成長に目を細めずにいられない。

岡留ら若手に強い刺激を受けるのはベテラン陣だ。4回から登板した岩貞は1四球を出しながらも無安打無失点。指揮官は「他のもんが抑えるとな、岩貞なんか力みまくってな。そら同じ中継ぎでな、他のピッチャーが抑えたらな。力みにつながるとかそれはあると思うよ」。実績十分の左腕でも力む姿が、過酷なサバイバルを象徴している。

現時点でブルペンの配置は未定だ。「まだそんなん決められへん。オープン戦とかでな、ゲームをこなして(3月)半ばくらいやろな」。村上らの先発陣も充実しているが、負けじとリリーフ陣も充実。開幕1軍をつかむ8人は誰かも、大きな注目だ。【磯綾乃】