日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
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プロ野球で「タイブレーク制」が遡上(そじょう)にあがっているが、複数の球界関係者に取材を試みても、現時点では前向きな姿勢は伝わってきていない。
それは来シーズンからの導入はないという意味と受け止めることもできた。実際、特に国際大会の前後に話題に上がったこともあるが、浮かんでは消えた。
今回は国際化に積極的なコミッショナーの榊原定征が検討の指示を下したようだ。関係者は「セ・パ各リーグで論議するより、ゲームオペレーション委員会で話し合うことになった」という。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で「延長戦なし」「10回打ち切り」のシーズンもあった。現在は9回で決着がつかなかった場合は「延長12回制」で必然的に“引き分け”が生じる。
メジャーでは20年から導入されている。WBC、五輪など国際大会の現場取材で「タイブレーク」に触れてきたが、“駆け引き”というより、あっけなく白黒がつく印象は強い。
もっとも無死二塁など走者を置いた場面からのスタートだからありがちだが、関係者は「それもプロの一投一打における高い技術をみせることになる」と説明する。
「タイブレーク制」の導入で考えられる最大のメリットは、常に勝敗をつけることができることだ。ゲームのスピードアップ、試合時間短縮につながるのも確かだろう。
しかし、「チャンス」「ピンチ」ができるまでの“筋書き”がなくなって、采配の妙といった面白みは希薄になる。選手の負担軽減になるかどうかはわかっていない。
現状で高校、大学、社会人では導入されているから、プロだけが採用を認めてこなかった。今後も検討の余地はあるだろう。大事なことは導入を決定するまでのプロセスだ。
まずは現場の意見も吸い上げるべき。またファンの間でも賛否が分かれているようだ。ファンがなにを求めているのか、その声にも耳を傾けたい。
日本野球機構(NPB)も話し合いは続けていく方向という。国際化の流れからすれば避けられない。現状で「保留制度」「ピッチクロック」「DH」など課題は山積する。
まず「タイブレーク」もファームで試験的導入を試みてはどうだろうか。2軍戦でファンの反応も含めてチェックし、そこでまた再検討する。やはり、今しばらく時間がかかる。(敬称略)



