頼む、才木を勝たせてくれ…。阪神が勝てば首位再奪取となる敵地巨人戦に競り負けた。先発の才木浩人投手(25)がプロ初の完投負け。初回に2失点した後は8回まで要所で踏ん張ったが、自己最多の133球熱投は報われなかった。右腕は日曜日登板から火曜日登板に移って4戦白星なし。チームは首位巨人とのゲーム差を再び1・5に広げられた。
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最後まで直球の威力は衰えなかった。才木は強気だった。8回無死一塁。犠打を試みた門脇に、直球で2度のファウルを奪った。犠打を阻止し、最後は2死二塁で丸を右飛。鬼気迫る表情で自己最多となる133球を投げ切った。
「次(9回)は打席が回ってくるから、最後やと思っていた。振り絞って、思い切っていきました」
首脳陣から「最後、どうする?」と問われ、迷わず「いきます、いきます」と志願した8回だった。過去5度の完投は全て完封勝利。8回2失点でプロ初の完投負けだ。岡田監督からも「いかせるつもりやったけどな。あんなところで代えられへんわ」と信頼を込められていた。日曜日から火曜日の登板に移った6月下旬から4試合勝ち星なしも、チームのために腕を振ってブルペンを休ませた。
悔やんだのは初回だ。岡本和、大城卓に連続適時打を浴び2点を失った。今季16先発で初回の失点は3度目。立ち上がりに強い男は「初回の2点が全て」と反省した。この初回だけで38球を要したが「走りがだんだん良くなった」という直球で立て直し。9安打、4四球を許した中で、懸命に要所で粘り抜いた。
3回2死満塁では投手山崎伊を空振り三振に仕留めた。同学年で同じ兵庫県出身の相手先発は、高校時代から知っている。「バッティング、ずっと良いので」とひそかに警戒していた。才木は須磨翔風、山崎伊は明石商と公立校で白球を追った。「向こうもすごくいいピッチャー」と認める右腕と白熱の投手戦を演じた。
これが前半戦ラスト登板。リーグ最多タイ8勝、同単独トップ98奪三振で走り切った。チームは勝てば首位再浮上の「伝統の一戦」を落としたが、才木がいなければ貯金3で首位に1・5ゲーム差の現状もなかったかもしれない。後半戦へ「今日みたいな展開をなくしていけるように」。自身初の球宴登板を挟み、勝負の真夏に向かう。【中野椋】
▼安藤投手コーチ(8回完投負けの才木に)「よく踏ん張った。初回からかなり球数を使って、5回くらいまでかなと思っていましたが、最後までいけましたね」



