自身初の1軍サヨナラ打で逆転3位をぐっと引き寄せた。
楽天伊藤裕季也内野手(28)は同点に追いついた延長10回、なおも2死一、二塁で代打に立った。真ん中に入ったロッテ国吉の初球142キロを完璧に捉えると、ライナー性の打球は中前へ。二走の鈴木大を本塁へ迎え入れ、球場は歓喜に包まれた。「最高です。正直覚えてないくらい、気持ちで打ったって感じなんで」と照れ笑いした。
プロ6年目。これまでもサヨナラを決めるチャンスはあった。でも打てなかった。「打つ人は何回も打ってる。自分に本当に打てるのか。今日は何とかそれを払拭しようって気持ちもあった」。2軍に降格していた期間から、感情のコントロールが課題だった。打てなかったら、とは考えない。ポジティブに、自分で自分の背を押した。
渡辺翔を救った。10回表に1点勝ち越しを許していた。右腕はゲームセットの瞬間、泣きじゃくった顔をタオルで押さえながらハイタッチの輪に加わった。野球は助け合えるスポーツ。「僕も救われてきた側だったんで、常に。去年のシーズン終わった時、来年は誰かを救えるプレーをしたいと思ってきた。(渡辺翔は)逆に、何度もチームを救ったことの方が多いと思う」と思いやった。
今江監督の采配がピシャリはまった。太田に代打を送れば、捕手は残り石原だけになる。同監督は「もうとにかく勝負をかけないといけない。負けてたんで最善を尽くしてやる。次の回も考えながら、気付いたら裕季也が打ってくれてた」と手放しで喜んだ。一度は3点あったリードを追いつかれた。延長戦に入っても勝ち越された。それでも小郷を中心に、ベンチはあきらめないぞ、のかけ声で満ちていた。4連勝でロッテに1ゲーム差。18日の同対戦で勝てば、ついに3位に浮上する。【鎌田良美】



