阪神立石正広内野手(22)が止まらない。5回の第3打席で同じドラフト1位の竹丸和幸投手(24)からプロ1号。さらに7回に第4打席でも同2位の田和廉投手(23)から中前にはじき返した。同期2人打ちから安打を記録し、3試合連続のマルチ安打となった。
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これも何かの縁だろうと思う。阪神ドラフト1位の立石が「5・24」に「東京ドーム」でプロ1号を放った。打球の着弾点は右翼。右後方には球界の大レジェンド王貞治氏(86=ソフトバンク球団会長)の巨人時代の背番号「1」ユニホーム型プレートが掲げられていた。
この日、みずほペイペイドームのソフトバンク-日本ハム8回戦は「王貞治レガシーデー」として開催された。王会長の偉業を共有するため新設された1年に1度の大イベント。通算868本塁打を放った「世界の王」をたたえる歴史的な日に、虎の新人スラッガーが記念すべき1号を刻んだ。
立石にとっても王会長は憧れである。今年の1月9日、NPB新人選手研修会に参加し、東京ドーム内に位置する野球殿堂博物館を見学した。道中で王会長が現役時代に「一本足打法」を完成させるために振り込んだ日本刀の前で歩みを止めた。まじまじと見つめ「刀もあるんだなって」。同じアーチストを目指す若武者は目を輝かせた。
王会長の野球情熱は今なお健在。現役時代は長嶋茂雄氏(享年89)とともに「ON砲」として一時代を築き、監督としてはホークスを常勝軍団に育て上げた。「僕はね、つえをついてでも野球がやりたいんだ」。数え切れぬ名高い言動は野球人の心に永遠に生き続ける。球団の垣根を越えた球界のつながり。技術だけじゃない。「世界の王」の全てを立石には受け継いで欲しい。【只松憲】



