阪神熊谷敬宥内野手(30)が9年目で初の1試合3安打をマークした。「8番遊撃」で先発。3回の先頭で中前に鮮やかにはじき返し、チーム初安打。6回は貴重な追加点となる中前適時打。きわめつきは7回、無死満塁から左越えに3点二塁打。しめて3安打、4打点と止まらなかった。

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阪神熊谷は入団以来、ほとんどの時間を「1軍のベンチ」で過ごしてきた。守備・走塁にすぐれ、首脳陣の評は「勝負根性がある」。ここぞの切り札にはうってつけ。能力を見込まれ、昨年からは藤川監督がスタメンでもたびたび起用。グラウンドに立つ時間が増えても、変わらぬハイパフォーマンスを出してきた。

控えのスペシャリストの経験が長いから身についたのが「想定力」だ。ベンチに座りながら、グラウンドを凝視。一つ一つのプレーをすべて自分に置き換える。自分なら何の球を狙うか、どっちの塁に投げるか、投手のクセは、守備の穴は…。代走・守備固めがありそうな味方選手は特によく見ている。試合展開を見て、入りそうな打順、後ろの打者まで考え、対戦投手まで想定するという。

「自分があの立場だったらどうするかを考えます。ちょっと『あり得ないこと』も結構考えています」。

想定を超えて「妄想」にまでなりそうな「あり得ないこと」のイメージ。そこまで準備するのはひとえに、任された仕事には絶対に応えたいから。チームに欠かせない職人かたぎが、満員の甲子園でヒーローになった。【柏原誠】

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