全てのプレーが勝敗に通じるとはいえ、蛭間拓哉外野手(25)のひと振りがなければ西武は負けていた。5連敗中。蛭間が打たなければ6連敗だった。
8回1死二塁。オリックス椋木に2つ空振りし、粘って、7球目の外角直球。強く振り抜くと、二塁手の頭を越えた。同点適時二塁打。こぶしを上げた。
「ここで結果出すと出さないでは、今年も、今後にも左右するくらいの気持ちでいたので。死に物狂いで準備して、こうやって結果が出たかなと思います」
5月下旬以降の打撃改善もある。とはいえ、ベースは春季キャンプだ。宮崎・南郷で朝から日没までバットを振った。
「新しく来た選手たちと比べたら足らないことだらけで。何かを変えないとライオンズにいられないなというのは強く感じて」
シーズンも折り返し地点を過ぎ、ようやく訪れたチャンス。円陣の声出しから明るさを振りまいて、“詰まったけれど、振り抜かないとヒットにならないヒット”も2本出て、チームのためにやれることはまずしっかりと出した。
試合を振り出しに戻し、左翼の守備位置へ向かう。結局は23時15分、ゲームセットまで大多数が残ってくれた西武ファンたちからコールが響く。
蛭間、手を挙げる。頭を下げる。何か口元が動いたようにも見える。そこでも自然とガッツポーズが出るような、熱い男。
「結果が出ない中でも応援してくれたり支えてくれた方々はいっぱいいるので、感謝したいです」
チームは長期遠征の真っ最中。ファン全てが関西圏の人ではない。急きょ昇格となった蛭間を応援する赤いタオルが15枚、左翼席には掲げられていた。【金子真仁】



