西武が近未来の黄金時代構築へ“10カ月の我慢”を決めた。本拠地ベルーナドームに隣接の2軍球場「カーミニークフィールド」の工期ならびに使用計画が最終確定したことが、23日までに分かった。今年9月から来年6月末まで公式戦は行われない。全てはナイター設備建設で夏の酷暑をしのぐため。この日のファーム・リーグ交流戦ヤクルト戦も炎天下で行われた。
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ホットコーナーと呼ばれる三塁を、背番号130の金子功児内野手(22)が熱く守る。「いい球いい球!」「もう1球!」と絶え間なく投手を盛り上げる。発声だけで気力も体力も消耗しそうな炎天下の屋外。セミの合唱より金子の声がはるかに輪郭がある。
「お客さんも暑い中で見ていただいてますし、声出てる選手の方がたぶん気持ちいいと思うので。でも、声出してるだけで立ちくらみしそうでした…」
このプロフェッショナルな心は球団が守らねばならない。金子がフル出場した試合の初回、記者のスマートウオッチ計測で気温36度だった。球団関係者によると場内の簡易温度計の数値は40度を優に超えていたという。試合終盤に冷感グッズを追加搬入するスタッフの姿もあった。22日には同じ埼玉県内のロッテ浦和球場での2軍戦がノーゲームに。「プロ野球×夏の屋外開催」は限界が迫る。
天井とスタンドの間に隙間があるベルーナドームの暑さは、常日頃指摘され、球団もできる限りの対策を進める。2軍も同様だ。夏の公式戦をナイター開催すべく照明設備の設置を決め、工期も最終確定。資材管理に広い敷地が必要なこともあり、今年9月1日から来年6月末まではカーミニークフィールドでの2軍公式戦を行わない。すでに各球団にも通達されている。
来季序盤の公式戦は現実的に「午前中に2軍戦、ナイター1軍戦」の“親子ゲーム”の開催でまかなう選択肢が考えられる。試合以上に大変なのが練習環境だ。2軍球場が使えずベルーナドームも催事開催があるとなると、練習場所が室内練習場に限られる日程も出てくる。例年「南郷組」「所沢残留組」に分かれる秋季キャンプも、今オフは南郷組の増加が有力だ。
どん底だった24年シーズンの勝利数は超え、残り50試合時点で2位に位置するなど西武は上向きだ。猛練習後ながら、この日のベルーナドームにも1軍戦を自主的に見て学ぶ育成選手たちの姿があった。彼らのより良い成長環境を確保するため、その姿をより快適にファンに追ってもらうため、皆で我慢する10カ月だ。【金子真仁】



