左手首を痛めていた日本ハムのルーキー中田翔内野手(19)が14日、都内の病院で検査を受け、左手有鉤骨鉤(ゆうこうこつこう)骨折で全治1カ月と診断された。15日に入院し、16日に欠けている骨片を取り除く手術を行う。実戦復帰は早くても8月中旬以降の見込みで、同2日のフレッシュ球宴(山形タカスタ)は辞退。故障後1カ月、病院での検査を見送ってきた影響が出た形で、今季中の1軍昇格は絶望的となった。

 骨折と診断され、千葉・鎌ケ谷の寮に戻った中田は「CTスキャンとかMRIとか全部受けました。(今後は)どうなるんですかね。軽い手術です」と言葉少なだった。左手首は右の強打者には重要な部位。病院に同行した福田トレーナーが「再発率が高いので」と説明する通り、16日に手術を受けることが決まった。

 骨折したのは6月14日のイースタン西武戦で、差し込まれた形で右飛を打ち上げた際に痛めた。7月8日にティー打撃を再開。守備、走塁練習はすでに始めており、順調に回復しているはずだった。

 痛めてからちょうど1カ月。病院で検査を受けるまでに長期のタイムラグがあったのは、最初の診断が甘かったところに原因がある。当初、トレーナーの所見では打撲だった。「今までにない痛み。病院に行きたい。内視鏡(手術)とかやった方がいいのかな…」と弱気になっていたが、球団側は耳を貸さなかった。

 一方で、中田にも非があった。2軍選手に毎朝義務づけられている、体調管理表の提出を怠るなどの素行不良があったという。「トレーナーはそれを指針にして練習メニューを決めるから」と島田チーム統轄本部長。福田トレーナーは「野球人の前に社会人。社会人としてのできてないこと、ケガ以外に取り組むことがあった」と話し、現場と球団が協議した上で、素行改善が見られてから検査を受けさせる方針を固めていた。

 素行不良とグラウンド内のケガを結びつけるのは、あまりに強引な印象を否めない。結果的に骨折だったことで、トレーナー陣の責任問題にも発展しかねない。だが同本部長は「早く(検査に)行けば、早く治ったかもしれない。でも翔にとっては、それが(1軍への)遠回りになったかもしれない」と話し、精神面の教育に取り組んでいたと説明。トレーナー陣への処分は見送った。

 術後は1週間の入院が必要で、8月2日のフレッシュ球宴出場も辞退することになる。実戦復帰は早くて8月中旬以降となり、今季中の1軍昇格は極めて厳しい状況となった。再発防止のため、さらには鳴り物入りで入団したルーキーが成長するためにも、両者に風通しのいい関係作りが求められる。【本間翼】