昨年限りで現役を引退した前オリックスの清原和博氏(41)が29日、日刊スポーツと評論家契約した。プロ23年間、球界を支えてきた清原氏は「チャンスがあれば、まず2軍の指導者からやりたい。そして最終的に日本一になりたい」と次の目標を明かした。「監督をやっても野球界を変えられないと思った」と球団経営に興味を示す僚友の桑田真澄氏(40)とは対照的なビジョン。今後はネット裏からテレビ解説、評論活動などを続け球界に貢献する意向。再びユニホームを着るまでの充電期間がスタートする。

 現役を引退した清原氏が次の夢へのビジョンを明かした。PL学園、そしてプロとエリート街道を歩んできたが、意外にも地道なところからのスタートを思い描く。コーチとして打診もあったが、あえてグラウンドから離れ、さまざまな角度から球界を見て勉強する道を選んだ。ハッキリ「監督で日本一」と掲げ、この1年を充電期間にする意向。「選手と一緒にタマ拾いからやりたい。チャンスがもらえるのなら、2軍の監督からやりたい」と話した。

 --春季キャンプ前のこの時期、現役の時はピリピリムードだった

 清原氏

 今は不思議と張りつめた緊張感はなく、穏やか。燃え尽きたんだろうなあ。

 --コーチの打診もあったようだが

 清原氏

 1度、ユニホームを脱がないと、次の道へ気持ちがリセットできないと思った。

 --次の道は

 清原氏

 言葉を濁す人もいるが、ハッキリ監督で日本一になりたい。そのためには、指導者の“基礎”を学ばないといけない。打撃技術と同じで、一足飛びにはいかないと思っている。

 --夢を実現するためには

 清原氏

 まず2軍の指導者になって、選手と一緒に汗を流したい。何年か2軍でやって、育てた選手と1軍で戦いたい。選手の技術はもちろんだけど、性格から把握できるしね。

 --なぜ2軍から

 清原氏

 大物外国人選手をとったり、FAで補強したりと、お金を使えば強いチームはできるかもしれない。でもそれでファンの方が納得できるのか。おぜん立てしてもらったチームで勝つよりも、下積みからやって勝ちたい。コツコツやった方が、選手への説得力も増すと思う。若手を育て勝ったチームの方が長続きする。

 --どんなチームをつくりたい

 清原氏

 勝つのは基本だけど、面白くて勝てるチーム。選手それぞれの個性が出て、選手のキャラクターとかでも喜んでもらえるのが理想かな。面白いの意味は、難しいと思うけど。

 --グラウンド外の部分では

 清原氏

 強い組織をつくるために、どんな人、どんなシステムが必要なのか。これまでとは違う視点からも肌で感じて吸収していきたい。

 --WBCの米国ラウンドやメジャーの球宴も視察する

 清原氏

 メジャーの練習法、施設だったり。特にケガの予防やリハビリ。自分自身、現役の最後は故障に泣いたので、故障に強い選手をつくる上での知識を学びたい。

 --ネット裏から球界を盛り上げる

 清原氏

 清原にしか分からない目線で野球を伝えていければと思うね。結果論だけでは言いたくない。例えば選手の結果がでない時に技術面だけではなく、コンディションやメンタル面も狂ってないかなど。

 --これまではプレーで伝えてきたが

 清原氏

 選手時代はすごくファンの方を意識してきた。いい意味でも悪い意味でもメディアに取り上げてきてもらったが、いろんな意味で話題を提供することを意識してきた。これからは選手、対決の見どころだったり、球界が元気になるようにしたいね。僕と野茂や藤川の対決を盛り上げてくれたように。

 --僚友の桑田氏は早大大学院に合格。「監督だけでは球界は改革できない」と言ってますが

 清原氏

 桑田には桑田の考え方がある。僕もアマチュアには興味があるし、時間があれば甲子園で試合も見たい。ファンの方や球界に恩返しするため、我々に何ができるのか。ユニホームを脱いでも、その点は忘れてはいけない。桑田とプロセスは違うにしても、ファンの方は将来、監督でのKK対決を見たいのではないか。チャンスがくるまで、しっかり足元を固めたい。

 [2009年1月30日9時50分

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