<ソフトバンク3-1巨人>◇13日◇福岡ヤフードーム

 「M3弾」だ。ソフトバンク松田宣浩内野手(26)が5回裏、2試合連発となる決勝2号ソロを放って巨人を一蹴。交流戦優勝マジックを3に減らす白星を呼び込んだ。球団にとっては2リーグ制後通算4000勝の記念星でVムードも最高潮。最短優勝は16日。連覇へ、秋山ホークスにとっては初タイトルへ、G倒でグ~ンと弾みをつけた。

 05年に実数発表導入後、福岡ヤフードーム最多となる3万6153人のファンが、この男のお立ち台を待っていた。ソフトバンク松田が、ヒーローインタビューで勝利の雄たけびだ。「入るとは思わなかったので、(入った瞬間)よっしゃ~って思った」。5回裏。巨人内海の初球、高め直球を左翼席に運び去った。決勝の2号ソロ。本拠地で初の2試合連弾に興奮を抑えきれなかった。

 3番打者として迎えた開幕戦で右手甲を骨折し、復帰後の定位置は下位打線。だが、松田はメリットを生かした。「3番とは違った感覚。ゲームを見ることができる。情報も多く得られる」。8番に座ったこの日も、内海の投球内容をじっくり分析。狙いすましていたのが、高め直球だった。

 ケガも糧とした。野菜ソムリエの資格を取得している恵理夫人の小魚をふんだんに使った料理でカルシウムを蓄えている。愛妻の努力を無駄にしないため、細かな配慮を忘れない。走者として出塁した際、これまではめていなかった手袋で、今は両手をがっちりガードしている。「自分はケガしないと思っていた。それが間違っていた」と松田。「散髪に行く時間もないんですよ」と話し、この日は前髪をまゆ毛切り用のハサミで整えて球場入りするほど本拠地では連日アーリーワークに励んでいる。

 この日はグアム自主トレで帯同させてもらった「師匠」松中が同点打。「今日の本塁打は、松中さんが一番喜んでくれた。松中さんは細かいところをいろいろ言ってくれる」。主砲のゲキも松田の背中を押していた。

 チームの交流戦の優勝マジックは3。2リーグ制後、球団通算4000勝のメモリアルも重なった。秋山監督は「松田の1発が効いたねえ。連打で(点を)取れない中で、先行できた。今日の勝ちは大きいよ。4000勝?

 ホークスに携わる人みんなにとって区切りだからね」と声を弾ませた。最短Vは16日。交流戦Vという第一のゴールはもう、目の前だ。

 [2009年6月14日11時34分

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