<阪神4-6中日>◇16日◇甲子園

 追いつかれたら突き放し、逆転されたらやり返す。中日打線の執念は7番英智外野手(33)にも生きていた。3回に同点に追いつきなお1死一、三塁の場面。代わった桟原のカウント1-1からの真ん中内寄り141キロを、強引に右方向にもっていく。自らの判断で進塁打を狙った打球は一、二塁間を破り、三塁走者が勝ち越しのホームを踏んだ。乱戦の中、これが決勝点となった。

 英智は「今日は点の取り合いの雰囲気があったので気持ちで打ちました。進塁打のサインは出ていませんでした。何とか走者を次の塁に進めようと思った」と、振り返った。さらに5-4で迎えた7回1死満塁でも、泥臭い三塁ゴロで三塁走者をホームに迎え入れた。これが今季7戦目のスタメンだった。伏兵がとどめを刺す。こんな戦い方ができるのが、今の中日打線の強みだ。

 中日は4月27日以来80日ぶりに2位に浮上した。開幕当初は打線が絶不調。井端も荒木も谷繁も体調に不安をかかえたままシーズンを迎えていた。4月28日には5位転落。最下位転落の危機もあった。それでも主力が復調するにつれ、打線につながりが出てきた。6月13日から3位が指定席。苦しんだ分だけ、1点の重みを感じるようになった。

 落合監督は「いつも言ってるだろ。ピッチャーがピチッと抑えても、負けるときは負ける。ボロボロでも勝つときは勝つ。典型的なゲームだ」と話した。順位を論ずるのはまだ先。それでも打線に厚みが増している。5・5ゲーム先を行く首位巨人は、手の届かない目標ではない。【村野森】

 [2009年7月17日11時27分

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